薬の受け渡しが怖い患者を助ける「薬局の変化」

対面必須だったが自宅での受け取りも可能に

コロナの影響で、薬局での対面業務が変わりつつあります(写真:Graphs / PIXTA)

10年ほど前から気管支喘息を患うTさん(44歳)は、東京都内の自宅に近い内科クリニックへ2カ月に1回ぐらいのペースで通院しています。慢性疾患の喘息を悪化させないように発作をコントロールする薬を定期的に服用しているのですが、その薬を処方してもらうためには、かかりつけ医の定期的な診察が必要なためです。

3月下旬に通院してからそろそろ2カ月。手持ちの薬が切れそうになっているTさんには心配ごとがあります。行きつけのクリニックや調剤薬局の待合室に、「新型コロナウイルスの感染者がいたらどうしよう」という不安があるためです。

こんなTさんのような慢性疾患を持っている患者の不安を解消する動きが始まっています。医療従事者ー患者間においてパソコンなどの情報通信機器を通して診療を行う「オンライン診療」や「遠隔服薬指導」です。

4月22日には新型コロナウイルス感染症専門家会議から「人との接触を8割減らす、10のポイント」が示されました。ここでは、「診療は遠隔診療」「定期受診は間隔を調整」との言葉が並びます。実際に患者からは、人が多くいる医療機関に行き、対面受診をすることに不安を感じる声も聞きます。

薬局では、これまで一部の例外を除き、安全面への配慮から、患者への薬の説明(服薬指導)は対面が必須とされてきました。オンラインで診療を受けている場合でも、医療機関から処方箋を自宅に送ってもらった後に、患者自身が薬局に薬を受け取りに行くケースもありました。

自宅で処方薬を受け取れるようになった

そんな中、慢性疾患の定期受診患者については、薬局が薬を自宅に郵送、または患者の自宅まで薬剤師が薬を届けることも許可されました。つまり、自宅にいながらにして診察から薬の受け取りまで完結できるようになったのです。

さらに4月10日に発出された厚生労働省事務連絡により、初診から電話などによる診療、服薬指導も、一時的に認められました。重大な疾病の見落としなどの懸念も含め、反対意見が多かった中、一時的とは言え初診の遠隔診療、服薬指導が解禁されたことは革命的なことだと言えます。

ただしリスク管理の観点から、他の医療機関における情報もないまったくの初診の場合、麻薬、向精神薬、抗がん剤、免疫抑制剤などの薬剤及び7日を超える日数の処方を受けることはできないとされています。

次ページ実際の流れは?
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナ後を生き抜く
  • 西村直人の乗り物見聞録
  • 賃金・生涯給料ランキング
  • 就職四季報プラスワン
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
おうちで稼ぐ、投資する!<br>在宅仕事図鑑

コロナ禍の下、世代を問わず広がったのが「在宅で稼ぐ」ニーズ。ちまたにはどんな在宅仕事があり、どれくらい稼げるのか。パソコンを使った「デジタル小商い」と「投資」に分け、誰にでもできるノウハウに落とし込んで紹介します。

東洋経済education×ICT