「銀行決済の24時間化は重要な成長戦略だ」 塩崎恭久・自民党政調会長代理に聞く

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――資金決済システムの改革は一般企業に与える影響も大きい。

ある企業の説明によると、仕入れ、納入などに伴うモノの流れに関する商流データの仕様はインターネット上で標準化されている。だが、資金決済に関するデータは商流データと別に存在しているうえに、フォーマットが20ケタしかない。そのため、企業では振り込まれたおカネがどの物品取引から発生しているのかが判断しかねることも少なくない。その結果として、決済関連作業時間のうち、半分ほどの時間がエラーの対応に費やされているということだった。

――EDI(電子データ交換)の問題ですね。

わかりやすく言えば、ネット処理ではおカネがいくら振り込まれたのか、ということがわかるだけ。振り込んだ相手に電話をして、何の目的でおカネを振り込んだのかを確認しないと、モノとおカネの関係を正確につきあわせることができない。

つまり、取引上の決済関連作業に費やされる時間の約半分は、エラーの対応という後ろ向きの作業に使われており、私もこれには驚いた。その時間やその作業に携わっている人材を未来志向の作業に投入したほうが企業の発展にも、経済の成長にもつながる。

――今後、どのように議論を進めていきますか。

われわれの会合では、政治の問題としてこれを解決しないといけないという意見も出た。決済システムをリアルタイム化し、モノの流れとおカネの流れのデータ処理が円滑にできるようにするために、どれほどの投資額が必要となるのかを試算し、誰がそのコストを負担するのかを考える必要がある。とはいえ、決済システムの24時間リアルタイム化は間違いなく実現しないといけない重要な成長戦略の一つと位置づけられる。

(撮影:風間仁一郎)

浪川 攻 金融ジャーナリスト

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なみかわ おさむ / Osamu Namikawa

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年、株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年に退社後、金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年にフリー。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄『奴雁』の哲学』(東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるのか』(悟空出版)などがある。

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