「1年は11カ月」フィンランド人のすごい働き方 コロナ後の日本人の働き方にヒントをくれる

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──堀内さんのような大使館員にも在宅勤務は適用されているんですか? 問い合わせの多い広報などでは難しそうな気がしますが。

コロナ以前から交代制は試行していました。必要な場合は、電話を取った常駐者が私の携帯へ回してくる。「在宅でもいけるね」ってみんなで話してたところです。

今現地で人気なのが、常温のサウナ部屋を仕事に使うこと。多くの家にサウナがあって、段々をテーブル代わりにやると「静かでいい」「電話会議しやすい」って(笑)。フィンランドはバブル崩壊後、ネット環境を整え、国民へのITスキルの教育を進めました。携帯も基本契約でデータ無制限なので、下地は整っています。

「休む」のは次のステップに必要なこと

──会社側が用意するエクササイズ休憩や法律で義務づけられるコーヒー休憩、レクリエーションデーなども紹介されています。効率化一本やり、なわけでもない?

堀内 都喜子(ほりうちときこ)/1974年生まれ。大東文化大学国際関係学部在学中、中国に1年間留学。同大卒業後、日本語教師などを経て、フィンランド・ユヴァスキュラ大学大学院で異文化コミュニケーションの修士号を取得。フィンランド系大手製紙機械メーカー勤務を経て、2013年からフィンランド大使館で広報の業務に携わる。前著に『フィンランド 豊かさのメソッド』。

「残業しない」が大前提なので、仕事の時間は集中してガッツリやる。それには休むことも同じくらい大事、と徹底しているんです。学校も同じで、休み時間は教室に鍵をかけてしまう。頭と体をリフレッシュさせ、教室に戻ったら授業に集中。夏休みに宿題がないのも、休みは休みだから。それだけの話。

──この本のキーワードの一つが「ウェルビーイング」ですね。

従業員1人ひとりが心身ともに健やかな状態でいることが、組織にとっても大きなプラス要素とされています。人件費が高いフィンランドでは、従業員に長く健康に働いてもらわないと損失も大きい。

さらに、これからは新しい発想とスピードで勝負する時代。そのためには心身の健康を基礎に、インプットする環境がないとアウトプットできない、という俯瞰的な判断があります。だから、休む時間をとても大事にする。それがエクササイズ休憩でありコーヒー休憩。休むのは次へのステップに必要なこと。全員がその意識を共有することが重要です。私も結構ダラダラしてしまいがちで、ちゃんと終了時間を見極めて組み立てる意識が足りないな、って反省します。

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