荒川俊治 エス・バイ・エル社長--この会社の立て直しは俺しかできない
委員会とかプロジェクトチーム(PT)が多くて、そこで決定したことが他の部署の足枷になっています。この間もある企画をストップさせました。会社全体の軸がない、ベクトルが一つになっていません。本社も支店も組織の全てを見直します。営業改革を期待されていると言われていますが、その営業改革をするにしても営業部門だけの改革では、すみません。
--副社長の3カ月間で改革の方向は見えてきましたか
会社の問題点は、ほぼ把握しました。ほとんどがタテ組織になっていて、横串が入っていないし、リーダーもいません。19支店すべてを回りましたが、「こんな給与体系ではやる気になりません」という声がありました。モチベーションの上がるような給与制度に直します。他にも間接要員がたくさん必要になる仕組みになっています。こういうことは数え上げればきりがありません。だから全てゼロベースで見直さないとダメです。
来年の4月1日には組織改革を一斉に行う、と社員にも発信していますし、そのための準備にも動いています。もっと付加価値があり、売れる商品の開発を社長直轄でやります。営業部隊も社長直轄にします。
--社長が営業本部長を兼ねるのですか
いや兼ねません。営業本部長という制度自体をやめます。営業本部長、その下のブロック長もいりません。支店長を社長直轄にします。支店長はいま19人いますが、合格ラインは数人しかいません。4月1日に19店を6~10店に統合し、大型店化します。
--支店長は大きく代えるということですか
ドラスティックに代えます。19支店中、私の見たところ支店長の能力があるのは数人しかいません。だからその数人以外は全部支店長から降りてもらう。12月4日に支店長と本社の幹部全員を集めた会合で、「支店長といえども一営業マンになってもらう覚悟をしてくれ」と言いました。支店長だけでなく、本社の役員・幹部も含めて全部見直します。役員は残念ながら6月改選ですから、4月1日は間に合いませんが……。12月4日に松川社長(当時)を横にして、社長の了解も得ていませんでしたが、私の独断でかなり厳しく言わせてもらいました。
社員にはエス・バイ・エルの現状認識をしてくれ、というペーパーを出しています。今回の賞与カットの理由と、今回の黒字は工事進行基準によるものである、という認識をきっちり持って欲しいと厳しいコメントを書きました。その中には、こういうカットは今回限りにしたい、という温かいコメントもあります。ただ、これは自分ひとりではできない、私はこういう覚悟でこの会社に来たが、みんなが同じ御輿を私と同じ考えで担いでくれないとできないよ、と言っています。