公共投資に偏らず、減税や給付金などの財政刺激策を
結局、2014年もアベノミクスは第1の矢である金融緩和政策頼みの状況である。このように書くと、メディアでよく聞かれる、「金融緩和頼みでは、アベノミクスはもう限界」「成長戦略が必要」などと考える方もいるかもしれないが、筆者は全くそのように思っていない。
そもそも、2013年に普通の中央銀行になった日本銀行が目指すインフレ安定化は依然実現していない。マクロ安定化政策で最もパワフルな政策ツールは金融政策であり、インフレ安定化が実現していないのだから金融政策頼みというのは当然だ。2014年度は財政政策が景気回復を抑制する方向に作用するのだから、なおさらである。
もし、消費増税が後戻りできないなら、脱デフレを後押しするために、公共投資に偏らない、減税や給付金などの財政刺激策が2014年も実現するのが望ましい、と筆者は考えている。
ただ、いまは、「増税を既定路線化させようとする勢力」が発している、「日本の財政状況が危機的と断定する論調」が主流となっている。4月から消費増税が始まったばかりだが、すでに10%への税率再引き上げの決断を巡る攻防が水面下で活発になっている模様だ。
本来、メディアはこうした政策をめぐる議論を吟味しながら、国民に有用な情報を提供することが期待されている。だが残念ながら、メディアには真の情報を見分ける能力があまりない。財政状況に関する数字などを並べられ、「国の借金が多い」などと解説されると、それが説得力のあるように伝えてしまう。
本来なら、政府部門は、本質的に企業や家計などと全く異なる性質を持つ。でも、国は「債務超過」「借金過多」などと表現され、多くの国民は、それが深刻な問題と感じてしまう。
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