レナウンショック、アパレル倒産連鎖の足音 資金繰りに窮し民事再生法の適用を申請

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度重なる人員削減やブランドの統廃合、資産の売却を行いながら、スポンサーを見つけては窮地を切り抜けてきた。2005年には投資ファンドのカレイド・ホールディングスから100億円の出資を受け、2010年には現在の親会社である中国の繊維大手・山東如意科技集団に傘下入りした(2013年の追加出資で子会社化)。

山東如意の出資を受けて行われた記者会見(2010年)。山東如意の邱亜夫董事長(写真中央)は、今年3月にレナウンの会長に就いたばかり(撮影:尾形文繁)

だが、紡績工場を祖業とし、小売りのノウハウが乏しい山東如意は、親会社として再建に向けた的確な指示を出せずじまいだった。

レナウン生え抜きの幹部に経営を任せたが、リストラを続けてきた社内で起死回生に向けた妙案を打ち出せる人材はほとんど残っておらず、赤字体質は変わらなかった。2010年度以降、わずかに営業黒字を達成したのは4期だけだった。

レナウンの2019年12月期(10か月の変則決算)は、売上高502億円(前期は636億円)、営業損益79億円(前期は25億円の赤字)と大幅な赤字に。その要因は、主力の百貨店ブランドの販売が落ち込んだことと、山東如意子会社との原材料の販売取引において売掛金の回収が滞り、53億円の貸倒引当金を計上したことにある。

直前の株主総会でトップ再任が否決

この取引で連帯債務者だった山東如意に支払いを再三求めたが、山東如意自身もM&Aなどに巨費を投じたことで資金繰りに余裕がなく、債務保証を実行できないままだった。

筆頭株主の修正動議で、社長に就くことになった毛利憲司氏。株主総会後の会見で新体制の意気込みを語っていたが・・・・(記者撮影)

多額の売掛金を回収できず、レナウンの営業キャッシュフローは大幅に悪化。2019年12月末時点での現預金残高は53億円と、2019年2月末時点の90億円から急減した。53億円の現預金のうち、20億円は借り入れの担保に供されていた。

資金繰りが逼迫する中、2020年3月26日に開かれた定時株主総会で山東如意との対立が勃発。神保佳幸社長と北畑稔会長(いずれも当時)の再任を求めるレナウンの提出議案に山東如意が修正動議を提出。結局、両者の再任が否決される展開となり、急きょ、取締役だった毛利憲司氏が社長に、山東如意の邱亜夫董事長が会長に就任することとなった。

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