レナウンショック、アパレル倒産連鎖の足音 資金繰りに窮し民事再生法の適用を申請

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アパレル企業以外で注視されるのが商社やファンドの動向だ。中でも繊維事業に強い伊藤忠商事グループはレナウンと取引があったうえ、山東如意とも資本関係を持つ(2011年に出資)。

ただ、ここ最近は伊藤忠もEC(ネット通販)プラットフォームなど次世代の流通チャネルの開拓に投資の重きを置いている側面もあり、業界関係者の間では「伊藤忠の意向は岡藤(正広)会長次第。直接手を差し伸べる可能性はそう高くないだろう」との声も上がる。ファンド関係者も「一部の顧客以外にはレナウンのブランドは知名度が低い。出資するには付加価値を見いだしづらい」と及び腰だ。

業界に広がるレナウンショック

仮に支援先が見つからず破産に至ってしまえば、下請けのアパレル事業者や百貨店への影響も避けられない。

百貨店アパレルの間では、「23区」や「自由区」を運営するオンワードホールディングスが2020年度に約700店舗を閉鎖し、ECへのシフトを加速する方針を表明しているほか、「ポールスチュアート」などを展開する三陽商会も2020年度中に最大150の不採算売り場を撤退する予定だ。さらにレナウンのダーバンやアクアスキュータムもなくなれば、多くの百貨店は衣料品フロアを維持すること自体が困難になる。

新型コロナの影響が顕在化した2月以降、アパレル企業の株価は軒並み大幅に下落している。「新型コロナで淘汰は想定されていたが、レナウンショックで投資家や金融機関のアパレルに対する視線は一段と厳しくなる」と、中堅アパレルの幹部はため息をつく。

現在ある大手アパレルのもとには、レナウンのように長年の経営不振にコロナ禍が加わり、資金繰りに窮したアパレル企業のM&A案件が続々と持ち込まれているという。4~5月の売り上げ急減により、業界内では夏頃にかけてアパレルの倒産ラッシュが起きる可能性も懸念されている。レナウンショックは、長らく構造不況に陥っていたアパレル・百貨店業界の淘汰・再編への序章にすぎない。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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