片山晋呉モデルのウェッジはよく寄る。ドライバーでフェアウエイに飛ばすことすらあきらめた仲間内で評判だった。マスターズに向かう片山が「僕には寄せワンしかない」と言ったという噂がその根拠だ。
とりあえずインターネットで情報集めだ。確かにメーカーサイトには「2008年度国内ツアー賞金王 リカバリー率No.1の片山晋呉プロ使用モデル」とある。
そこでリカバリー率を調べると、パーオン以上でグリーンに乗せ、パーかそれ以上のスコアで上がることだそうだ。つまりボギーオン・ワンパットでパーが代表的なリカバリーなのだという。
ということは、片山はティーショットがパーオン距離に届かず、寄せワンがうまいということになる。某キャスターのように、片山晋呉モデルのドライバーにうつつを抜かすよりも、はるかに安上がりで、スコアアップが期待できるというわけだ。
なにしろ、ボクの場合はヘタをすると18ホールすべてがリカバリー率の対象となるのだから、リカバリー率がよくなることはあっても、悪くなることはない。これは魅力的だ。
ところで、ゴルフ仲間が付けてくれたあだ名は「バンカー名人」だ。サンドウェッジを構えるたびに、仲間たちは「よっ、バンカー名人!」と声をかける。キャディもこの人はさぞかしの名手かと見ている。
実は使っているサンドウェッジのソールに「Bunker Meijin」とブランド名がローマ字で彫ってあるのだ。バンカー名人とはそのことだったのかと、キャディが気づいて後ろを向いて苦笑していることがある。こうした状況から脱出するためにも片山モデルを買ったのだ。
52度と58度の2本。シャフトは限定モデルのNS1050だ。ラウンド前の練習場で打ってみると、確かにバックスピンもかかっているようで、着地してからのボールの挙動がかっこいい。ピタッと止まるのだ。
仲間にも打ってもらったのだが、自分のよりもよいと思うよという。しかし、昨日からの雨がさっき上がったばっかりだし、などと口の中でブツブツいっている。
いよいよコースデビューである。90ヤードのアプローチは小気味よくボギーオンだが、2パット。バンカー脱出も問題ないが、3パット。30ヤードのバンカー越えも安心感抜群だ。しかし、結果はまたもや3パット。
上がってみると、結局いつもと同じスコアである。そうなのだ。パターが悪いのだ。今年の平均パット数1位は石川遼である。またもやインターネットで調べてみると、石川モデルは在庫切れだそうだ。結局、別のパターを発注することになってしまった。
1955年北海道生まれ。アスキーなどを経て、91年マイクロソフト日本法人代表取締役社長。2000年に退社後、投資・事業開発コンサルティングのインスパイアを設立。趣味はジャズレコード収集やプラモデルなど多数。無類の読書家としても有名、書評も多く手掛ける。
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