スーパーショットにまぐれなし

プロゴルファー/青木 功

 プロゴルファーは、この冬の時期をどう過ごすかで、「今年1年の成績が決まる」といっていいかもしれません。12月までのシーズンを乗り切る体づくりをしておかないといけませんからね。
 でも、クラブを振らないこの時期は、どうも手のむくみが取れません。そんなときは犬の散歩がいちばん。手にするリードが犬に引っ張られ、自然に指や手のひらのむくみが取れるんです。50年もゴルフをしていると、犬との散歩までゴルフに結びつけちゃうんです。いや、またそうでないと長い選手生活を送れませんが。
 といった意味では、男女の賞金王石川遼君、それに横峯さくらさんも丈夫な体をしていますね。2009年のシーズンを休みなしに無事戦ったじゃないですか。

今年も開幕が楽しみ。日本のゴルフ界も男女ともいい顔ぶれがそろいましたね。09年の場合、男子は石川遼と池田勇太が引っ張り、できれば片山晋呉や矢野東がもう少し頑張ってほしかったけど、女子は横峯さくらや諸見里しのぶ、それに有村智恵、そんな選手が毎週のように優勝争いをするんだから、ファンはたまりません。

そして、賞金王争い。ゴルフは他のスポーツと違って獲得賞金がチャンピオンの証しですから、これを意識すると結構プレッシャーがかかるものなんです。
 横峯さくらは昨シーズン初めから賞金女王宣言をしていましたが、いざ賞金女王が見え始めると足踏み。これがプレッシャーなんですよ。それに一度はあきらめていたんですよね。だって11月のダンロップフェニックスの週、正月のテレビ番組収録で一緒になったんですが、諸見里との差が1000万円と少しになったので、「虎のしっぽが見えてきたね」と言ったら、キョトンとしていたんです。まだ2試合あるのに頭の中から賞金女王は消えていたんですよ。

石川遼にしても横峯さくらにしてもゴルフが好きなんだね、ちっとも試合を休まないもの。もっともゴルフの調子がいいと毎週出ても疲れないものです。これはどの仕事も同じでしょうけど、成績がよいと疲れを体が感じませんよね。
 それに石川遼にしても横峯さくらにしても、勝負どころで神がかり的なスーパーショットをしますよね。実はあれは練習量からくる自信がそうさせるんです。誰でも勝負を決めるここ一番のショットは、心に不安がよぎります。でも、それを振り切るのは、人より多い練習量なんです。練習量が少ないと不安が先に立つから結果を早く見たいと顔を早く上げてしまい、それによって体が開きボールが思い通りの方向に飛んでいかない。ですから、トッププレーヤーのスーパーショットには、まぐれはないんです。プロもアマチュアもゴルフに自信がある人は、ショットのときボールをよく見て頭が上がらないのです。

プロゴルファー/青木 功(あおき・いさお)
1942年千葉県生まれ。64年にプロテスト合格。以来、世界4大ツアー(日米欧豪)で優勝するなど、通算85勝。国内賞金王5回。2004年日本人男性初の世界ゴルフ殿堂入り。07、08年と2年連続エイジシュートを達成。現在も海外シニアツアーに参加。08年紫綬褒章受章。
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