【産業天気図・銀行業】収益力は低下続く、公募増資も希薄化意識で一服へ、10年9月まで「雨」続く
09年10月~10年3月 | 10年4月~9月 |
銀行業界は2010年9月まで、終始「雨」が続く見通しだ。
2009年9月期(中間期)の各社の損益状況は、不良債権処理、株式減損などの損失処理が大幅に減ったことにより、純利益は前年同期比で増加した。金融庁の集計によれば、大手11行の単体の中間純益は前年同期比1786億円増の5131億円。地域銀行(地方銀行と第2地方銀行の計109行に埼玉りそな銀行を加えたもの)の単体の中間純利益も同2127億円増の3521億円になった。
しかし、ベースとなる収益を見ると相変わらず厳しい。特に地域銀行は銀行の本業の利益である資金利益(資金運用と資金調達の差)が、前年同期比584億円減の2兆1942億円だった。貸出金での運用についてみれば、景気低迷により資金需要が乏しく融資量が伸びないこと、政策金利の引き下げと保証協会の保証付き融資が主流になっているため、利ザヤも低下しているのだ。貸出金が伸びない分、有価証券で運用するわけだが、これも前期までに高利回りの外債や投資信託での運用部分が縮小。残るはもっぱら国債での運用となり、利回りは低い。
大手行も資金利益は前年同期比677億円増の2兆1703億円となったが、これは主に海外で調達コストが下がったことが要因。国内の資金利益はやはり冴えない。