コロナが直撃!「6月株主総会」をめぐる大異変 総会の延期か継続会か、割れる企業の判断

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決算の作成作業や監査が遅れていることで、「3月期決算企業は6月末に株主総会を開く」という常識も覆されようとしている。

3月末に決算を迎える企業は、例年6月末までに定時株主総会を開催してきた。現在の法律上は、決算期末から3カ月以内に株主総会を開催しなければならないという定めはなく、6月末に総会を開くというのはあくまで慣行にすぎない。

6月末に株主総会を開催する場合には、5月中旬ごろには会社法上の監査を終え、遅くとも6月上旬には決算書を同封した定時株主総会の招集通知書を株主に発送しなければならない。だが、前述のように決算や監査の手続きが遅れ、6月末の株主総会開催が危ぶまれる状況だ。

株主総会の「延期」「継続会」を検討

株主総会にはそもそも、コロナ禍で会場に多くの株主を集めることがよいのかという問題もある。大きい会社だと、数千人の株主が一堂に会する株主総会は「3密」の典型例で、クラスター感染を引き起こしかねない。

こうした事態を踏まえて検討されているのが、株主総会の「延期」、または「継続会」といった非常手段だ。

延期とは文字通り、当初予定されていた6月下旬とは別の日に株主総会を開くことだ。法務省は2月に、新型コロナ問題を受けて、株主総会が開催できない状況が解消されてから「合理的な期間内に」総会を開催すればよいとの解釈を示した。

一方、継続会とは6月下旬に一度株主総会を開催し、一定の期間内に2回目の総会を開くことだ。継続会の詳細は企業にゆだねられているものの、1回目で剰余金の配当や取締役などの選任議案などを採決し、監査付きの決算書が準備できた時点で2回目を開いて事業や決算の報告などを行うパターンが想定されている。1回目と2回目の間隔は3カ月程度であればよく、1回目の総会は株主に来場自粛を呼びかけてもよいとされている。

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