コロナが直撃!「6月株主総会」をめぐる大異変

総会の延期か継続会か、割れる企業の判断

実際に総会の延期や継続会を検討する企業は増えている。東京証券取引所によると、4月30日時点で85社が継続会を検討し、延期を決定したのは9社、延期を検討中とする会社は39社だった。決算期が3月の上場企業約2400社と比べて少ないようだが、金融庁は「決算短信の発表も遅れており、今後はさらに数が増えてくる」と予想する。

延期よりも継続会を選ぶ企業が多いのには理由がある。継続会の最大のメリットは、従来のスケジュール通りに株主に配当できることだ。

延期で配当を受け取れない株主が出る

配当は会社が定めた基準日時点の株主に支払う。3月期決算企業であれば、通常は3月末時点の株主だ。しかし、株主総会を延期すると、取締役会の決議で剰余金を配当することができる一部の企業を除いて、この基準日も変更しなければならない。会社法の定めにより、株主としての権利が行使できるのは基準日から3カ月以内とされているからだ。

例えば、8月下旬まで株主総会を延期した場合、基準日は8月下旬から遡って3カ月以内の、5月下旬以降に変更しなければならない。この場合、3月末時点で株主だったが、のちに株を売却してしまった株主は配当を受け取れなくなる。こうなると、株主の相当な反発が予想されることから、上場企業が総会の延期に消極的な理由もわかる。

延期も継続会も行わず、通常通り定時株主総会を開催するという選択肢ももちろんある。実際には海外拠点がなかったり、企業の規模が比較的小さく、日ごろから決算の早期化に努めてきたなどの理由で平常通りに株主総会を開く会社も多いだろう。

ただし、遅れ気味の作業を急がせれば、監査法人や社内の経理部の負荷が高まるほか、ミスを誘発したり、最悪の場合は不適切な会計処理を見逃してしまうことにもなりかねない。

では企業は継続会を選択すれば万全なのか。残念ながらそうとも言えなさそうだ。

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