リクナビ「エントリーあおり」の実態とは?

揺らぐ“就活サイトナンバーワン”ブランド

トップページの最も目立つ場所には3月末まで、エントリー数をあおるようなグラフが表示され、ネットで物議を醸した。自分のエントリー数と、内定を獲得した先輩のエントリー数(70強)、「あなたに似た同期」のエントリー数(先輩よりさらに多い)を、マラソンに見立てた棒グラフで比較。「内定獲得した先輩に追いつく!」と書かれたボタンから、さらにエントリーを増やすようあおっていた。

現在、この画面は削除されている。

「これ私がおかしいというよりは周りの連中か就活の仕組みそのものがおかしいと思う」――

3月末、「内定獲得した先輩に追いつく!」グラフの画像をTwitterに投稿した就活生のこのつぶやきは、ネットで大きな反響を呼び、リクナビの“エントリーあおり”が広く知られるきっかけになった。

このグラフは3月いっぱいで削除された。リクルートキャリアは、「3月までの就活はエントリーが中心だが、4月からは選考を受ける時期に変わるため、就活のフェーズに合わせてエントリー数のグラフを削除した」と説明。このグラフがネットで炎上したことが削除理由ではないと説明している。

就活生は意外と冷静?

これらの機能を、当の就活生はどうとらえているのだろうか。就活時にリクナビに登録していた2012~14年卒の7人に、一括エントリー機能や“エントリーあおり”と受け取れる機能の感想を聞いてみたところ、意外なほど冷静な意見が相次いだ。

「余計なところにエントリーした記憶がないので、一括エントリーボタンは使わなかったと思います。エントリーあおりはあまり快くなかったです。余計なお世話だという感じですね」(14年卒・男)。

「一括エントリーボタンはあったけど、そもそもほとんど気にしてませんでした。何となく記憶はあるのですが、それに対して激しい怒りとかは感じてなかったです」(13年卒・男)。

「チェック入れるだけで申し込みオッケーとかウケるよね、もう相手の会社のことなんて読まなくていいってことじゃん、って話はよくしてました。リクナビは新卒者に対して、あからさまに『お前らは商品だぞ!』って扱いの機能が多くて、使ってると精神すさみそうだなと思っていました」(12年卒・女)。

この春、ネットで“エントリーあおり”が話題になったことについては、「なぜ今さら」と驚く声も上がった。「今さら言われても……という感じ。いい施策だとは思わないけど、騒いでるのは大人だけで、就活生はわりと冷静に見てるのでは」(13年卒・男)。

リクナビは毎年仕様を変えており、彼らが就活した2012~14年版は15年版ほど極端にエントリーをあおっていなかった可能性はある。ただ、彼らは大人が騒ぐ前からエントリーあおりに気づき、比較的冷静に対処してきたようだ。

「できるだけ広く企業研究を」とリクルートキャリア

一連のエントリーあおり批判について、「リクナビ」責任者の中道康彰・リクルートキャリア新卒事業本部本部長は、「学生さんや企業さんにご心配をおかけして申し訳ない」と陳謝する。

学生に多数のエントリーを勧める機能には、「できるだけ広く企業研究をしてほしいという思いがある」と言う。「希望する企業だけに絞って就活すると、その企業の選考に落ちたらゼロに戻ってしまう。その間に他社の採用活動は進んでおり、より内定が取りにくい状態になる。就活の最初の段階で、いろんな企業が存在することを広く認識してもらい、エントリーしておいてほしいという意図がある」(中道本部長)。

次ページ人事担当者の評価に響く「エントリー数」
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