三越伊勢丹、百貨店大手で唯一赤字の根本原因

都心主力店に集中、コロナ禍で「吉」と出るか

新型コロナの影響が出た3月を含むという特殊要因があるものの、同社が大手百貨店で唯一の赤字となる理由はほかにもある。それは経営の構造的な問題だ。

1つは、売上高が主力店舗に過度に偏重している点だ。同社は伊勢丹新宿店(東京都新宿区)、日本橋三越本店(同中央区)、銀座三越(同)の「基幹3店」に経営の軸足を置いている。

基幹3店で、直営百貨店の全売上高の83%を占める。都内店舗の売上高比率は大丸松坂屋が19%、高島屋は29%であることに比べると、三越伊勢丹の都内店舗依存度の高さは際立っている(三越伊勢丹は2019年3月期、他社は2020年2月期の実績、以下同じ)。

地方・郊外店を次々と閉店

三越伊勢丹はここ数年、百貨店売上高日本一を誇る伊勢丹新宿店、百貨店の発祥店である日本橋三越本店、そしてインバウンド需要に沸く銀座三越に力を入れてきた。化粧品売り場などを積極改装し、一層の集客に乗り出していた。

その反面、消費意欲が減退する地方・郊外店舗は次々と閉店。2017年3月の三越千葉店(千葉市)を皮切りに、伊勢丹松戸店(松戸市)、伊勢丹府中店(府中市)、伊勢丹相模原店(相模原市)、三越新潟(新潟市)を閉じた。三越恵比寿店(渋谷区)も2021年2月に店じまいする。

【2020年5月10日11時59分追記】三越恵比寿店の所在地に関する記述が誤っていました。お詫びして訂正いたします。

恵比寿店は2019年3月に改装を終えたばかりだった。「閉めるなんてもったいない。赤字店舗の営業を止めれば、会社の経営がよくなるわけではない」と社内からは反対意見も出たようだが、採算割れを脱せずに閉店を決断した。同様に赤字が続く松山三越(松山市)についても、地元の不動産業者からは「そろそろ閉めるのではないだろうか」との声が聞こえてくる。

百貨店では対面販売が重視され、多くの従業員を抱えることから損益分岐点が高い。このため、全体効率の視点から儲かっている店舗に経営資源を集中する戦略は合理的ではある。

しかし、冒頭の元幹部は「今の三越伊勢丹は成長戦略が十分ではなく、リストラばかりが目立つ。地方・郊外店舗も、自治体や大学との連携を強化するなど地域に根づいた展開を模索すれば、まだ需要はある。そうせずに、継続か閉店かの2択になってしまっている」と指摘する。

しかも、都内集中戦略は、災害などで首都圏機能がストップした際に収益源が断たれるリスクがある。今回のコロナショックは、まさにそのリスクを浮き彫りにした。

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