近年、日本企業は、欧米・中国企業が高額報酬をエサに人材を乱獲するのに押されて、グローバルな採用市場でマイナー選手に転落してしまいました。その結果、先端分野の高度技術者やグローバルに事業経営を担う経営人材など、国内で一流と称される著名企業でも深刻な人材不足に陥っています。
3月以降コロナ禍を受けて企業がリストラを開始し、多くの人材が職を失っています。いまのところ日本では、パート・派遣といった非正規労働者の雇用不安が問題になっているだけですが、今後は正社員の失業も増えるでしょう。日本と違って解雇が容易な諸外国では、すでに報酬が高い高度技術者・経営人材がリストラの標的になっています。
失業は、国民にとっても社会にとってもまさしく大ピンチ。しかし企業は優秀な人材を採用する機会に恵まれます。聞くところでは、日本でも一部のコンサルティングファームや投資ファンドが3月以降、中途採用を強化しているようです。
これから盛り上がる事業とは?
最後は3つ目に、「新規事業の創造」です。安定した社会では、制度・仕組みがかっちり整備されていて、新規事業のチャンスはなかなかありません。新規事業が生まれ、企業が飛躍的に発展するのは、社会が劇的に変化するときです。デュポンは南北戦争で飛躍的に発展しました。ソニーは戦後の焼け野原で産声を上げました。
いま、外出自粛・休業・在宅勤務といった変化を受けて、宅配・医療品・会議システムなど、危機に対応した新規事業が盛り上がっています。今後、医療・営業など広い領域で非接触型の新サービスが広がることでしょう。
幸い、新規事業に必要な資金・人材・設備など経営資源を格安で調達・利用できます。新規事業に取り組みたい企業や起業家は、このチャンスを見逃す手はありません。
以上の考えを知り合いの経営者に伝えたところ、だいたい以下4つの反応がありました。
「まったくその通り。積極的に取り組んで、ピンチをチャンスを変えたい」(金融サービス)
「その通りですが、諸々のリスクを考えると、なかなか踏み出せません」(機械)
「理屈はわかるが、火事場泥棒のようなことはしたくない。人材獲得は、人助けになるので考えてみたいが…」(専門商社)
各社が置かれた状況や経営者の主義・信条など異なるので、4つのどれが正解とは言えません。ただ、未曽有の危機を目にして呆然と立ち尽くすのではなく、自社が4つのどれに該当するかを自問し、リスクと向き合う姿勢を確認したいところです。
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