自前の通信網を持つ携帯大手3社では現状、学生のオンライン授業だけでなく社会人のテレワーク需要も含めて日中に普段以上に通信データを使う人が多少増えても、既存のネットワーク設備で十分に賄えるとしている。
在宅で固定回線やWi-Fiを使うために逆に携帯のデータ通信量が減る人もおりトータルの通信データ量は微増程度にとどまっているのと、もともとのピークタイムである朝や夕方の通勤ラッシュなどでも余裕を持って賄えるようにしているため、日中はもともとキャパシティに余裕がある。データ量の変化による新たな設備投資は不要で、コスト面の負担が重くなることはない。
支援策で大手3社にはプラスの面も
支援策では追加料金を取らない一方、大手3社は“それなりの旨味”をしっかり享受している。
今回の施策で追加の50ギガバイトを無償で使えるようになるのは、あくまでも利用者が元々の契約プランの上限データ通信量を使い切ってからだ。例えば、大手3社が主力とするプランのうち、月間50ギガバイトや60ギガバイトの大容量プランでは平常時、これをすべて使い切ったうえで、1ギガバイトずつデータ通信量を追加購入する利用者は少ない。ここを無償化したところで、もとより失う収入はごく限られている。
他方、もう1つの主力である従量課金制プラン(使ったデータ容量に応じて数段階に分けて料金が上がっていくもの)では、追加料金の無償化が発生する状況までいけば、その時点で平常時よりもむしろ収入増になるケースも多い。
ドコモの4Gの従量課金制プランを例にとってみてみると、料金は月間のデータ通信利用量に応じて4段階で変わる。1ギガバイト未満なら2980円、1ギガバイト以上3ギガバイト未満なら3980円、3ギガバイト以上5ギガバイト未満なら4980円、5ギガバイト以上7ギガバイト未満なら5980円となっている。平時は7ギガバイトを超すと追加料金を支払わない限り、速度制限がかかる。
コロナ支援策での無償化は7ギガバイトを使い切ってからの話なので、例えば平常時は3ギガバイト以上5ギガバイト未満(4980円)で収まっていた利用者がオンライン授業などの影響で利用が増えて7ギガバイトを超過し、支援策が意味を持ってくる場合の料金は、いつもより1000円高くなるのだ。
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