サントリー「絶好調のチューハイ」休売する事情

数量不足が深刻な消毒用アルコールへ転用

アルコールは一般的にはエタノールのことを指し、製法によって2種類に分類される。石油由来のエチレンを原料につくられる合成アルコールと、サトウキビやトウモロコシなどを発酵させて作る発酵アルコールだ。

前者は主に化粧品や洗剤、医薬品など化学工業用として用いられ、後者は消毒用アルコールのほか、しょうゆやみそ、酒の原料など幅広い用途がある。オエノンHDなど酒類メーカーが扱うのは後者の発酵アルコールだ。

ただ、アルコールは用途によって役所の所管や管理方法などが異なる。酒に用いる場合は酒税がかかり、これは財務省の所管となる。それ以外は経済産業省が管轄し、「工業用アルコール」と呼ばれる。工業用アルコールを酒用に転用されると、酒税がかからないという懸念などがあるため、厳しく規制されている。

世界的に増える消毒用アルコール需要

新型コロナの感染拡大によって消毒用アルコールの需給が逼迫。消毒用アルコールを所管する厚生労働省は3月に、医薬品向けでない高濃度エタノール製品でも消毒用アルコールの代用品として認めるよう規制を緩和した。

オエノンHDや宝ホールディングスなど、酒類メーカー各社はこの規制緩和を受けて動き出している。オエノンHDや宝HDは以前から消毒用アルコールを販売するメーカー向けに原料を供給していた。今後、宝HDは月90キロリットル、オエノンHDは月18キロリットルを医療機関などに提供する予定だ。

しかし、酒類メーカーの供給拡大だけで、消毒用アルコールの需給は緩和しないようだ。経産省によると、国内での発酵アルコールの生産量は年間約30万キロリットル。その原料となる粗留アルコールの8割をブラジルから輸入しているが、世界的に消毒用アルコール需要が拡大し、原料の確保が難しくなっている。

オエノンHDは足元の原料用アルコールの調達状況について、「何とか当面の分の確保はできた」と話す。サントリーHDは「世界的に消毒用アルコール需要が増えていることや、船・コンテナの不足による配送遅延の影響で調達が難しい状態」という。

そのためサントリーHDは、焼酎やチューハイなどの一部商品50品目について現在ある在庫分を売り切った後、しばらく生産と販売を休止する予定だ。

次ページサントリーの「ジレンマ」とは
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • CSR企業総覧
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
ストロング系チューハイの光と影
ストロング系チューハイの光と影
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
人材戦略から儲けのからくり<br>まで コンサル全解明

人材の争奪戦が過熱し、年収水準もうなぎ登りに。デジタル化を背景にコンサルティング業界は空前の活況を呈しています。本特集ではコンサル業界の動向やビジネスモデルを徹底解説。コンサル会社を賢く選び、上手に活用していくノウハウを紹介します。

東洋経済education×ICT