レオパレス、コロナショックで再建に黄信号 遅れる施工不備の改修、入居率は80%割れも

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レオパレスが扱っている賃貸住宅のほとんどは単身者向けのワンルームだ。契約者の6割弱が法人との契約で、主要顧客は建設業、製造業、人材派遣業がそれぞれ15%強ずつを占めている。外出や経済活動の自粛が長引けば、こうした業種にはリーマンショック時のような派遣切りや雇い止めが押し寄せる。同社にとっては入居率を押し下げる要因となりかねない。

施工不備問題の長期化に伴い、1年間で最も高くなる3月末の入居率は83%にとどまった。入居者から受け取る家賃収入より、不動産オーナーに支払う賃料が多くなる逆ざや水準が発生するのは入居率80%がメドとされる。

入居率は2019年10~12月にも80%を割り込んだが、コロナショックによる自粛が長引けば再び80%割れに転落しかねない。

巨額の売却損計上の可能性も

2019年12月末時点でレオパレスの現預金は約800億円ある。一方で借入金は約300億円、補修工事引当金は約500億円だ。逆ざやによるキャッシュアウトが長引けば、資金繰りはますます苦しくなる。

残された道は資産の切り売りだが、その道筋も厳しい。会社側が表明した海外事業やホテル・リゾート事業は万年赤字のため、平時でも売却が難しかった。コロナショックの現在ではなおさらだ。この事業では推計で400億円超のセグメント資産を抱えている。売却手法次第では巨額の売却損が発生する可能性もある。

2020年3月期決算の発表と同時に公表する詳細な経営改善策で何を示すのか。そして、その後に定時株主総会が行われる。2月の臨時株主総会ではレノらの株主提案は否決されたが、前回棄権した大口の投資家も経営陣の再任反対など波乱要因となりそうだ。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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