レオパレス、コロナショックで再建に黄信号 遅れる施工不備の改修、入居率は80%割れも

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だが、これは既存路線の焼き直しでしかない。というのも、賃貸事業は売上高の84%を占め、同11%のアパート開発事業はすでに縮小傾向にあるためだ。介護や海外、ホテル・リゾート事業はいずれも10年近く赤字が続き、事業の撤退・譲渡は当然の判断と言える。

レオパレスの広報担当者は「抜本的な見直しの意味とは、海外、ホテル・リゾート事業の撤退を決めたこと。賃貸事業の強化など詳細内容は2020年3月期の本決算と同時に発表する」と説明した。同社は当初、5月13日に2020年3月期の決算発表を予定していたが、4月30日現在では未定となっている。

残された時間は多くない

レオパレスに残された時間はそう多くないかもしれない。同社のビジネスモデルは、地主に賃貸物件を建てさせるアパートの開発事業と、建てたアパートを同社が一括で借り上げる賃貸事業がセットになっている点に特徴がある。

アパート開発事業はリーマンショック前まで、連結営業利益の9割近くを稼ぐ圧倒的な収益柱だった。これは地主に対して競合や相場より高額の一括借り上げ家賃を提示することで、好採算のアパート開発事業の受注を増やす戦略がうまく機能してきたからだ。

だが、リーマンショックが同社を直撃。金融機関の融資引き締めでアパート建築の受注が急減したうえ、自動車や電機業界の派遣切りで、アパートの入居者も減少。特に賃貸事業では受け取る家賃より、地主に支払う家賃のほうが高くなる「逆ざや」が発生し、巨額の空室損失引当金の計上に追い込まれた。2010年3月期に790億円という、今回の施工不備(2019年3月期に686億円)を超える最終赤字となった。

この時の反省から、レオパレスはアパート開発事業を縮小し、賃貸事業で安定収益を稼ぐビジネスモデルに舵を切った。だが、ここで懸念されるのは新型コロナウイルスの影響だ。

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