コロナ休業飲食店が家賃支払い苦しむ法的難題

家賃支払い猶予法案の早期成立が求められる

緊急事態宣言下の東京では多くの飲食店などが休業や営業時間短縮を余儀なくされている(写真:Richard A. De Guzman/アフロ)

新型コロナの感染拡大で、緊急事態宣言に伴う営業自粛の要請に対応し、休業を実施したり営業時間を短縮している飲食店は、売り上げが前年比80%、90%減という惨憺たる状況に陥っている。

しかし、テナント入居している多くの店舗は毎月決まった家賃を支払わなければならず、その負担は重い。飲食店の中には、支払い猶予や家賃減額を大家さんに申し入れるところが多数ある。中には、店を閉め賃貸借契約を解除し、家賃のこれ以上の負担を逃れようとするところも出てきている。

こうした事業者を支援するため、野党5党などが店舗の賃料支払いを一定期間猶予したり、賃料を所有者が減額した場合に国が一部を補助するといった家賃支払い猶予法案を国会に提出している。ただどのような形でいつまでに支援が実現できるか、法案が成立するまでの見通しは立っていない。

法律上、賃料支払いの問題はどうなっているのか

そもそも、既存の法律の枠組みはどのようになっているのか? 1.家賃の支払い猶予、2.家賃の減額、3.賃貸借契約の解除という3つの項目が法律上可能であるかどうかを解説したい。

1. 家賃の支払いは猶予してもらえるか

国土交通省は3月31日に各不動産業界団体に対して、飲食店をはじめとする賃料の支払いが困難な事情があるテナントに対して、その置かれた状況に配慮して、賃料の支払いの猶予に応じるなど、柔軟な措置の実施を検討するよう各団体の加盟事業者へ周知を依頼したのである。

しかし、これは“依頼”にすぎず、従うか従わないかは、あくまで各賃貸人の判断である。法律的に(強制的に)賃貸人に支払い猶予を認めさせることはできないのか。

残念ながら、その答えはNOである。なぜなら、法律には、こうした状況で支払い猶予を認めるような根拠規定がないからである。

民法第419条1項(「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率よって定める。」)は、支払いが遅延した場合、その損害賠償として利息を支払え、としており、その3項(「第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない」)では、不可抗力でも、それを理由に支払いを拒むことはできないとされている。

法律的には、支払い猶予を賃貸人に認めさせることはできないのである。

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