コロナで学会中止、大学院生に募る将来の不安 教授から指導を受けられなくなった学生も

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大学院生は研究会の中止などで不安を抱えています(写真:mapo / PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大により、「オンライン授業」に踏み切る大学や大学院が増えている。

しかし、大学院生は学部生とは異なり、授業を履修して単位を獲得すればよいわけではなく、研究をし、論文を書かなければならない。すでに学内施設を閉鎖している大学もあれば、緊急事態宣言がなされた後、研究室をはじめキャンパスへの出入りを禁止する大学もある。そのため研究を安心しておこなうことができず、不安を抱えている院生は少なくない。

実際に、院生からは「Wi-Fi環境やパソコンがなく、オンラインの指導を受けられない」「アルバイトがなくなり、学費を出せるか不安」「研究が思うように進まない」などの声が上がっている。

東京都内の文系大学院に通うユカリさん(匿名)は3月から、図書館や大学の設備をこれまでのように使えなくなり、研究が思うように進まなくなっている。

図書館の利用を制限している大学は少なくない。中には、閉室している大学もある。ユカリさんが通う大学の図書館も平日の利用時間が短縮され、土日は閉室。国会図書館や地域の図書館も休館となっているため、資料収集などに支障が出るようになった。

また、研究室への出入りも控えるようにいわれ、自宅での研究活動が推奨された。緊急事態宣言が出された後は図書室や研究室は入室禁止となる。これまでのように研究室のプリンターを使って無料で印刷したり、図書館でサイズが大きい資料をコピーしたりすることはできなくなった。

必要な文献や資料などはすべて研究室に置いているというユカリさん。自宅でできることには限界があると感じているという。

学会や研究会の中止で先が見えない不安

さらに、学会や研究会もつぎつぎと中止が決まり、議論の場もなくなった。報告を予定していた院生にとっては、業績を積む機会が失われたことになる。延期になったとしても、開催時期は「未定」だ。「うつ状態になっている院生もいます」とユカリさんは語る。

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

ユカリさんの大学院ではゴールデンウィーク明けまで授業が休講になることが決定。指導はオンラインで受けるように推奨するなど、大学側もさまざまな取り組みをおこなっている。それでも「先が見えない」状態に不安を抱えている院生は少なくない。

小さな子どもがいる院生や研究者からは「子どもが常に家にいるため、研究に集中できない」「研究できる時間が減ってしまった」などの声も上がっているという。

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