コロナで学会中止、大学院生に募る将来の不安 教授から指導を受けられなくなった学生も
留学生が抱えている問題も深刻だ。海外から日本にやってきた留学生の中には、日本に入国できなかったり、母国に帰国できずに就職活動に悩んでいたりする人もいる。ユカリさんの大学院に通う留学生は休学届を提出したという。
ただし、研究の性質によっては、大きな支障が出ていない院生もいる。日本から欧州に留学中のハルカさん(仮名)は、つぎのように語る。
「私はパソコンがあればできる研究をしています。学会や学内セミナー、教授とのアポイントメントも全てオンラインになっているので、オフラインで人に会えない以外にこれまでとの変わりはないです。強いて言えば、家でずっと研究しなければいけなくなったため、自分のモチベーションを保つことでしょうか。自己管理(特にスケジュール管理)をしっかりしないといけないなと思っています」
しかし、別の研究をしている留学生からは不安な声を聞くことがあるという。
「実験や他の国へ研究をしに行く必要がある場合は、コロナの関係で研究が止まってしまっているようです。論文提出への締め切りが不安だと言っていました」
実家の収入半減など経済状況への不安
大学院生による有志団体「Change Academia」は、新型コロナ流行による大学院生への影響についてネット上でアンケートをおこない、146回答が集まった(「新型コロナ流行に関する大学院生の緊急実態調査」実施期間3月23日〜31日:現在も回答を受付中)。
回答者の内訳は博士前期課程(76人)、博士後期課程(55人)、博士研究員など(7人)、修士修了者(新社会人)など「その他」(8人)だ。全体の37%が自分で学費を出している。
「Change Academia」の代表者によると、「学会がなくなったことで、予定していた業績がなくなった(調査ができなくなった)」などのほか、経済状況に対する不安の声が多かったという。以下は、実際に寄せられた声だ。
「アルバイトが無くなり、3月は無収入」
「実家の収入が半減した」
「講義開始の遅れで、TA業務の給料がどうなるか明示されていない。生活費の目処が立たない」
「内定が取り消しになった」
「データ収集や発信活動が停止しており、1年間の研究費を適切に使えないのではないかと不安」
「家族に迎えに来てもらうことで、その家族も同様に隔離となってしまい、本来働けるはずだった親の仕事にも影響してしまい、家計へのさらなる負担になっている(日本から外国に留学した院生)」
「進路に影響するのではないかと不安」