「コロナ危機」に直面した時に必要な8つの視点 経営学の視点から政府の対応を考える

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危機に直面した時にどのような対応が必要なのでしょうか?(写真:2020年ロイター/Yuya Shino))

日本国民と日本経済は、新型コロナウイルスの感染拡大で大きな打撃を受けている。しかし、政府の対応を見ていると、新型コロナつぶしのビジョンと戦略、国民生活を支えるビジョンと戦略がよく見えてこない。

思えば、こうした感染症の危機を迎えるのは初めてではない。たとえば、2003年にはSARS(重症急性呼吸器症候群)、2012年にはMERS(中東呼吸器症候群)と2度のコロナウイルスの問題があった。いずれも日本国内へ持ち込まれず感染拡大を許さなかったが、今回の日本政府の対応は、こうした過去の未知の感染症の経験から学んでいなかったことを露呈した。

国難とも呼べる危機時に、政府は本来どのように対応を取る必要があるのか。企業変革論、企業再生論の権威であるハーバードビジネススクールのジョン・P・コッター名誉教授の視点から、考えてみたい。

コッター教授の企業変革のステップ

コッター教授は、経営危機に直面したが、その後立ち直ったアメリカの企業を多数分析し、企業変革の理論を作り上げた。

コッター教授が経営危機に直面した企業に見いだした8つの「つまずきの石」は、内向きの企業文化、官僚主義、社内派閥、相互の信頼感の欠如、不活発なチームワーク、社内外に対しての傲慢な態度、中間管理層のリーダーシップの欠如、不確実に対する恐れである。

そして、コッター教授は、これを乗り越え大規模な変革を推進するために、次の8段階のプロセスを経ることが必要であると主張する。

① 危機感を高める
② 変革推進のためのチームを作る
③ 変革のためのビジョンと戦略を掲げる
④ ビジョンと戦略を周知徹底する
⑤ 自発的な行動を促す
⑥ 短期的成果を実現する
⑦ 成果を生かして、さらなる変革を推進する
⑧ 変革を根付かせる
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