在宅介護「代わりがいない」彼らに迫りくる限界 コロナ禍で負担激増、感染リスクにも怯える

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「対象は『要支援』や『要介護度1』の人に限られますが、まずは在宅介護から取り残された人用に、ホテルの貸し切りしかないでしょう。そこに一定の身の回りのお世話をする介護職員を置いてもいい。介護の度合いが高い『要介護度3〜5』の人は老人保健施設や病院を確保すべきです」

淑徳大学の結城康博教授(撮影:フロントラインプレス)

「平時だったら、老人保健施設やショートステイに入ることが原則です。しかし、今はそうした施設側も新規には受け入れたくない。感染の拡大になりかねないからです。このままでは、もうどうしようもなくなる。だったら、ここは国や自治体が資金を出して、いま言ったような避難所を整備するしかありません」

介護に携わる人たちの痛切すぎる肉声

要介護者の健康をどう守るか、ケアラーたちの生活をどう維持するのか。ここで再び日本ケアラー連盟の調査に寄せられた“肉声”の一部を紹介しよう。実は、連盟がまとめた資料は41ページもある。下の内容は文字通り、「一部」でしかない。しかも調査時期は3月下旬。状況はさらに厳しくなっているはずだ。

・ケアラーが(コロナに)かかった場合の対応策が、ケアマネ含め誰も考えてくれない
・ケアラーの罹患でも、重度障害児自身の罹患でも、重度障害児の受け入れ先の対応が未定
・家族と分担介護+ヘルパー利用だが、誰かが欠けるとワンオペになり生活が破綻する
・(要介護者と自分の)どちらが感染してもどうなるのか不安。おそらく共倒れになるのではと思ってしまう
・自身がコロナになったとき全介護の子供はどうする?
・自分が感染した場合、入院できなければ自宅待機になるが、祖母にうつったら致命的なので、その間自宅以外で自分を隔離できる場所がない
・保健所も結局、「お母さんがコロナになったら自分で娘の預け先を探せ」と言った。相談できても、いつものことだが何にもしない、解決にはならず甚だ遺憾だ

取材=フロントラインプレス(Frontline Press)

Frontline Press

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「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年5月に合同会社を設立して正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や研究者ら約40人が参加。スマートニュース社の子会社「スローニュース」による調査報道支援プログラムの第1号に選定(2019年)、東洋経済「オンラインアワード2020」の「ソーシャルインパクト賞」を受賞(2020年)。公式HP https://frontlinepress.jp

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