在宅介護「代わりがいない」彼らに迫りくる限界 コロナ禍で負担激増、感染リスクにも怯える

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調査では、「あなた自身が新型コロナウイルスに感染した場合、代替案を考えていますか」という核心に迫る問いもあった(複数回答)。これについては、回答者381人のうち、「まだ考えていない・どうしたらよいのかわからない」が200人、「代わりの人はいない」が195人に達している。

介護する側が感染した場合、介護を受けている人も家族も濃厚接触者となる可能性が高い。そうした不安は回答にも現れている。

自分が感染したら? 「わからない」が多数派

・(自分が感染したら)当然家族も濃厚接触者になるので誰にも預けられないし、我が子の場合、命に関わります
・子どもが発達障害もあって、大変すぎるから別の人に任せられない!親子共倒れ覚悟!
・子どもは人工呼吸器の重度重複で、他に見られる人がいない
・家族に感染者がいたらショートステイは利用できない。主な介護者が感染者となったらケアする人がいなくなるので、命の危険がある
・姉と2人で介護しているので、姉にすべてをお願いするしかない
・結局同居の家族に代わっても、みんなが感染してしまったらどうなるか不安
・介護施設は利用できないと思うので身内で対応していくしかない。考えると恐ろしいです
日本ケアラー連盟の調査結果(撮影:フロントラインプレス)

そもそも平時でさえ在宅介護には大変なことが多い。しかも、細かな事情は家庭ごとに異なる。そうした肉声を“家庭の問題”として閉じ込めてきた矛盾が、コロナ禍で一気に噴出してきたとも言える。

日本ケアラー連盟の児玉さんは言う。

「介護というのは、やっぱり家族のプライベートな問題だから、『家族で何とかしろ』と(いう風潮がある)。根深いと思います。ケアラーが置かれている状況や課題をもっと可視化しなければ、と思います。コロナ問題で最も急ぐことは、ケアラー自身が感染し隔離された場合、それに代わる人がいない。受け皿がないので、整備する必要があります」

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