「原油暴落でも冷静」な株価は急上昇するのか 「キツネとタヌキの化かし合い」は終わりそう

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主要国の全般的な株価動向に話を移すと、このところの経済データや企業収益面では、厳しい数値が並び、好材料は極めて乏しい(一部銘柄の決算で、予想を上回ったものなどはあるが)。

しかし、そうした厳しい数字にもかかわらず、日米等主要国の株価の振れ度合いは小さくなり(米VIX指数などのボラティリティ指数もひところより低下)、底固い動きも示し始めている。

その背景は、これまで当コラムで述べてきたように、3月後半の株価の大幅下落の要因は、「新型コロナウイルスの流行で、経済や企業収益がどのくらい悪くなるかわからない」といった、不透明感によるパニック的な売りであった。このため、安全資産とされる、米長期国債や金までもが、一時売り込まれた。

これに対し現在は、「さまざまなデータで、具体的に確実に大幅に悪いことが確認できた」という局面に入っていると解釈する。これから先、すでにかなりの悪化を示している経済指標や企業収益が、一段と大幅に悪くなると懸念される。また、それに応じて株価が下落すると予想される。それでも、当初のパニック的な局面に比べれば、株価の下値は浅いものになる可能性が高いと見込んでいる。

底が浅くても「出口」までは時間がかかりそうだ

しかし、今後の株価の底が浅いとしても、明確な上昇に転じるのも、時間がかかりそうだ。

アメリカや一部の欧州諸国では、経済の再開を図る動きが表れてきているが、時期尚早の恐れも払しょくできない。日本の、5月6日までとされている緊急事態宣言も、延長される可能性が高い。その後、どこかで宣言が撤回されても、一気に元の経済活動までは戻るまい。

企業収益に生じた打撃を数値で推し量ろうとしても、企業側が自社の収益見通しを打ち出せない会社が増えてきているうえに、決算実績自体の公表も遅れる企業が多いことが確定的だ。

すると、なかなか短期的には景気や企業収益悪化の出口が見えにくく、向こう数カ月は、日本株を含めた主要国の株価は、「大きく底割れもしないが上昇力も乏しい」といった、底固めの展開が続くのではないだろうか。

長期投資の観点からは、「有望な投資対象を仕込んで、しばらく放置する」、というスタンスで臨めばよいのではないだろうか。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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