「原油暴落でも冷静」な株価は急上昇するのか 「キツネとタヌキの化かし合い」は終わりそう

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

しかし、そうした需要減退が最大の要因であれば、同様に工業用原材料である、銅、アルミ、ニッケルなどの非鉄金属価格も、下落基調が進行しているはずだ。ところがそうした非鉄金属の先物価格の動向は、3月後半から4月初旬辺りで底値を付け、その後は持ち直しをみせている(ただし、アルミ、ニッケルは、底値から大幅に上昇しているわけではない)。

こうした工業用原材料の価格動向を踏まえると、原油価格を押し下げているのは需要要因ばかりだ、という主張には疑問を覚える。

とすると、供給面の要因が大きく働いているのではないだろうか。最近の原油価格下落の引き金を引いたのは、3月6日の「OPEC(石油輸出国機構)プラス会合」で、サウジアラビアとロシアの減産合意が決裂したどころか、サウジアラビアが「逆切れ」とも称される、自国シェア拡大のための増産を打ち出したことだった。

「キツネとタヌキの化かし合い」もさすがに終わる

こうした供給面の要因で原油が大幅下落したことで、産油国は浮足立ち、4月9日の再度のOPECプラス会合から10日のG20エネルギー相会合にかけて、アメリカなども含めた減産の意向が打ち出された。それでも、過去の減産の歴史は、「キツネとタヌキの化かし合い」であった。

つまり、表では減産を打ち出しつつ、裏では自国だけ大いに稼ごうと「減産破り」を行なってきた、ということだ。そのように市場では減産の有効性に対し疑念を抱いていることと、減産合意も不十分だという見解が残っていることが、原油価格の頭を抑えているのだろう。

しかし、多くのメディアですでに報じられているように、サウジアラビアは他の産油国と、さらなる減産に向けて準備している、とのことだ。生産側にとって、足元の原油価格低迷はさすがに「脅威」だ。とすれば脅威を回避する方向へと、一段と舵がきられるだろう。

次ページ主要国の株価はどうなるのか
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事