34万人透析患者がコロナ禍で神経すり減らす訳 重症化と集団感染のリスクあるが通院休めない

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透析患者やがん患者などの基礎疾患を持った人が、新型コロナウイルスの感染後に重症化する可能性が高いことから、厚生労働省は4月14日、各都道府県に対して医療体制の拡充を促す指示を出した。

透析に関わる医師の団体「日本透析医会」によれば、2018年末時点で人工透析が必要な人は約34万人に達する。「コロナ禍」の中、透析患者はどんな状況にあるのか。同会の新型コロナウイルス感染対策ワーキンググループ委員長、菊地勘医師はこう指摘する。

「透析患者には特殊な事情があります。まず、一般の人なら熱が出れば、『家で安静にしてください』と言うことができる。透析患者は違います。感染の疑いがあっても週3回の透析のために、必ず通院しなければなりません。このため、感染する機会は増えます。そしてワンフロアで20~30人が同時に透析する。3密ではありませんが、集団治療になります。こうした背景を考えると、よく持ちこたえているとは思います」

約半数が糖尿病を合併し、リスクは高い

日本透析医会などの最新データによると、透析患者の平均年齢は70歳で、65歳以上が3分の2を占める。さらに、約半数が糖尿病を合併している。4月23日時点では、全国の透析患者のうち、新型コロナウイルスの累積感染者数は59人(死亡4人)。透析患者全体に占める感染者の割合は一般の感染者の割合とあまり変わらないが、公表データに見る死者の割合は一般の人より高率だ。

透析患者にはもともと高齢者が多く、糖尿病のために抵抗力が落ちていたり、白血球機能が低下していたりしており、細菌に感染しやすい。厚生労働省は帰国者・接触者相談センターに相談する判断基準として、一般の人は37.5度以上の熱やだるさなどの症状が4日以上続く場合と示しているのに対し、透析患者は2日程度でセンターに相談するよう勧めている。

次ページ疑いの間にも2~3回は自分たちの施設で透析するしかない
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