コロナが「地域の病院」にとんでもなく厄介な訳 一口に医療崩壊といっても単純な話じゃない

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院内感染が認められた慶應義塾大学病院は4月21日に自院のホームページで、4月13日から4月19日に実施したPCR検査で、新型コロナウイルス感染症患者以外の治療を目的とした無症状の患者のうち、約6%に陽性が認められたことを明らかにした。そのうえで、「これは院外・市中で感染したものと考えられ、地域での感染の状況を反映している可能性」を指摘している。

和田医師はこの報道を受け、「ようやく市中感染の実態がつまびらかになった」と話す。

「永寿総合病院にしろ、ほかの医療機関にしろ、院内感染を起こしている医療機関の多くは、本来、新型コロナウイルス感染症を診ることを想定していなかった市中病院です。感染症指定病院に患者が集中することによる『指定病院の医療崩壊』を懸念した専門家会議や日本感染症学会が、極端にPCR検査を抑制してきた。その結果、水面下で市中感染が広がり、一般病院の医療スタッフや患者さんから院内感染が広がったのです」(同)

院内感染のきっかけは発熱のある患者だけじゃない

院内感染のきっかけは、外傷患者や一般病棟に入院している患者、救急搬送された患者などさまざまで、必ずしも発熱があって受診した患者ばかりではない。国立感染症研究所の資料でも、「新型コロナウイルスと診断または疑われていない患者を診察して感染したケース」や「市中や医療従事者の間で感染したケース」が指摘されている。

「国の方針では間に合わないことから、発熱外来やPCR検査を実施している医療機関や自治体が出てきています。この場合は、PPE(個人防護具)などを装着して診察に当たります。ところが、一般外来では、基本的な感染対策としてマスクの着用や手指消毒はしますが、それ以上はできません。医師や看護師は多くの患者に接触します。1人の患者が持ち込んだウイルスがたまたま付着していれば、ほかの患者に広げてしまう危険性は十分にあり、それを完全な形で防ぐことは不可能です」(和田医師)

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