中古マンション市場急拡大に潜む落とし穴

「新築神話」が強い日本に中古が普及。だが課題も

仕入れコスト増を賄うために、「手抜き工事で施工コストを下げようとしている業者もある」(別の業界関係者)という。中古再生・販売の大手であるスター・マイカの水永政志社長は「消費者は今後、仲介会社のネームバリューだけで判断するのではなく、リノベーションを手掛ける企業の実績などを見極める必要がある」と説く。

そもそも、中古再生・販売は回転率で稼ぐ薄利のビジネスだ。売上高に対して、仕入れ費が7割、リノベーション費が1割、そのほかの費用が1割弱、発生する。つまり、粗利率は1割程度。都心部に近い物件ともなると、仕入れコストがさらにかさむ。

採算の悪い仕入れを繰り返すと、やがては資金繰りに苦しむ業者も現れる。その結果、リフォームやアフターサービスの質に支障が出れば、活性化した中古市場に冷や水を浴びせかねない。

築後25年で建物の価値がゼロに

中期的な課題もある。中古住宅に関しては、これまで適切な評価基準が適用されてこなかった。築年数のみを基準とする方法が一般的で、これだと築後20~25年で建物の価値がゼロになる。リノベーションやリフォームを施しても、それが住宅の価値にプラスされることはない。

中古住宅市場の活性化を目指す国土交通省は、新たな評価基準作りに着手。現在、不動産業者や金融機関関係者などを交えて研究会を実施している。国交省に対して政策提言をしている、不動産コンサルタントの長嶋修氏は、「国交省は驚くほどのアグレッシブさで動いている。14年度には新しい評価基準が策定され、15年度には業界共通のデータベースが構築されるだろう」と語る。

市場が拡大しているとはいえ、日本の住宅流通に占める中古の割合は13%程度。米国の90%、英国の84%にはるかに及ばない。構造的な課題を乗り越え、巨大市場へと変貌を遂げるか。今年はその分岐点となるかもしれない。

(週刊東洋経済2014年4月12日号核心リポート01)

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