中古マンション市場急拡大に潜む落とし穴

「新築神話」が強い日本に中古が普及。だが課題も

昨年から中古マンション市場が急成長している要因は、大きく三つある。

一つは、中古に対する消費者の抵抗感が弱まっていることだ。完成する前に契約するケースが多い新築とは違い、中古は事前に物件を確認できるため、実際の住み心地が想像しやすいという安心感がある。建物の外観や共用部分の管理状態もチェックできる。大手の本格参入などにより説明会が増え、こうしたメリットが認識され始めた。

二つ目は、金融機関による住宅ローンの拡充だ。昨年半ばごろから、住宅本体とリフォームを一体化したローンが本格的に出始めた。これまではリノベーションやリフォームに関する費用は住宅ローンの対象外だったため、中古物件の購入者はフリーローンなど金利の高い商品に頼らざるをえなかった。ところが、需要増を見込んだ都市銀行などが低金利の一体型ローンを取り扱い始めたことで、消費者の資金面の不安が和らいだ。

三つ目は、割安感である。首都圏の場合、リノベーション費用を含めても、おおむね新築より1~2割、必要経費が抑えられる。なおかつ中古は、業者が仲介する個人間売買であれば、消費税の対象外。今後は、増税の影響をまともに受ける新築に対して、価格面での優位性がさらに高まる、というわけだ。

手抜き工事の懸念も

一方で、急拡大に伴う“ひずみ”も表面化している。

その一つが職人不足の問題だ。リノベーションの場合、風呂場から工事を手掛けていくことが多いが、ユニットバスの施工職人が足りないため全体の工事が進まない。ほかにも、内装に携わるあらゆる方面の職人数が、需要急増に追いついていない。キッチンセットやトイレなどの設備は入ってくるものの、10日ほど現場に置かれたままで、納期に遅れる事例が続出。混乱は当面続く懸念がある。

もう一つの問題が、参入企業増に伴う中古再生・販売の競争激化である。大手であれば、取引先から物件情報が数多く寄せられるため、焦って高い値段で物件を仕入れなくてもよい。ところが、新規参入企業は情報量が限定されている中で仕入れなければならないため、「無理に高い値段で買い取るケースもある」(業界関係者)。

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