人工知能(AI)を活用したオンライン英語教育を展開する「流利説」が深刻な赤字に喘いでいる。
アメリカのニューヨーク証券取引所に上場する同社は4月17日、2019年の会計監査後の決算報告書を発表した。それによれば、売上高は10億2300万元(約155億円)と前年より6割伸びたが、営業費用の膨張に歯止めがかからず、純損失が前年比17.7%増の5億7480億元(約87億円)と過去最悪を記録した。
流利説の創業は2013年。戦略投資家から4回の資金調達を経て2018年9月にニューヨークに上場を果たし、中国のAI教育ベンチャーの雄としてもてはやされた。しかし決算データが開示されている2016年以降、ずっと赤字経営が続いている。
同社はもともと大人向けの英話教育からスタートしたが、今後は幼稚園児から高校生までを対象にしたプログラムに力を入れ、苦況を乗り切る方針だという。なお決算報告書には、仮に事業を黒字化できなかったり十分な資金を調達できなかったりした場合、経営を継続できない可能性があるとの注記がつく。
有料会員数が1年間で30万人減少
流利説の創業者兼CEO(最高経営責任者)の王翌氏は、2009年にアメリカのプリンストン大学でコンピュータ科学の博士号を取得し、グーグルに2年間勤めた後に起業した。音声認識、評価の自動化、リアルタイム・フィードバック、プログラムの個人別カスタマイズなどAI技術の応用において、創業者のバックグラウンドがもたらす優位性を同社は繰り返しアピールしてきた。
赤字体質の裏側には、膨張し続ける販促費がある。決算報告書によれば、2019年の営業費用は売上高よりも大きい13億3360万元(約202億円)に上り、前年比44.4%増加した。そのうち販売・マーケティング費用が9億6900万元(約147億円)と7割以上を占める。
言わば「キャッシュを燃やし」て販促をかけ続けている状態だ。にもかかわらず、流利説の有料会員数は反対に減少している。2019年末時点の有料会員数は約70万人と、1年間で30万人も流出した。
(財新記者:丁捷)
※原文は4月19日配信
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