止まらない「東京一極集中」に見る強烈リスク コロナ禍で再認識された一極集中の問題点

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経済活動の集中ぶりも際立っている。近隣の埼玉、神奈川、千葉3県を加えた東京圏でみると、人口は約3677万人で日本全体の約3割が密集している。

内閣官房国土強靭化推進室が2019年9月にまとめた資料(「東京一極集中リスクとその対応」について)によると、就業者数1635万人は全国シェア27.7%(2015年)。資本金10億円超の大企業数は3056社で同62.0%(2017年)。域内総生産(GRP)名目は180兆円余りで同33%(2015年)、年間出荷量4億8100万トンで同19.0%(2015年)となっている。

過密都市東京、通勤地獄と物価は高止まり

世界有数の超過密都市における日常はどうなっているか。まずは通勤ラッシュ。国土交通省の都市鉄道の混雑率調査(2018年度)によると、三大都市圏主要区間の平均混雑率は東京圏163%、大阪圏126%、名古屋圏132%だ。

東京圏で目標混雑率180%を超えているのは11路線。東京地下鉄東西線199%、JR東日本横須賀線197%、同総武緩行線196%、同東海道線191%などが上位を占めている。東西線・木場駅―門前仲町駅は、ピーク時間帯(7時50分~8時50分)に10両編成の電車が27本走っている。輸送力3万8000人余りに対し輸送人員は7万6600人を超し、混雑率199%の日本一を記録している。

物価水準の高さも日本一だ。小売物価統計調査(構造編)2018年によると、都道府県別の物価水準の総合指数が最も高いのは東京都で104.4。最も低い宮崎県は96.0と比較して8.4ポイントの差がある。水準的には東京都が宮崎県よりも8.8%高いということになる【(高い指数-低い指数)÷低い指数×100】。

物価が最も高いのは住居費。東京都の指数はなんと133.0とけた違いに高い。最も低い愛媛県は82.7だから、その差はなんと約50ポイント。物価水準でみると東京は愛媛よりも60%も高いことになる。

では可処分所得はどうか。総務省の家計調査年報(県庁所在地別データ=2018年)によると、1世帯当たり1カ月間の収入と支出(勤労者世帯)の可処分所得全国平均は45万5125円。東京都区部は51万9217円で全国5位。1位の金沢市は53万5451円で、2位は福井市、3位は富山市だ。物価がトップなのに可処分所得は5位どまりなのである。

また、毎年話題となる待機児童問題。東京都の待機児童数は2019年4月1日現在3690人で全国トップ。待機児童率は1.19で全国6番目の高さだ。子育て環境も厳しい。

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