日本の「家づくりの常識」が「30年遅れ」な理由 人気建築家が教える理想の住宅を建てる方法
でも、日本でも最近少しですが、こだわりを持って自邸を建てていらっしゃる方も増えてきたように思います。そのような人たちは、多少手間がかかっても、建築家にお任せではなく、一緒につくっていく意識が高いです。
「そりゃあ、注文住宅を頼める人はお金があるから当然だ!」という意見を多く聞きます。いえいえ、それは違うのです。
ファッションでも、上から下までお任せで、一流ブランドで統一するとかえって野暮ったく見えてしまいます。こだわりを持ってお金をかけるところ、かけないところを、きちんと見極める、このカスタマイズが住まいのセンスを左右するのです。
こだわりのある空間にいると、自分のライフスタイルもセンスが磨かれ、それがやがて、自分の人生に反映されます。注文住宅は高いという偏見を持たずに、自分でつくり上げる意識を高めてはいかがでしょうか。
たかが住宅、されど住宅、この良しあしで人生が変わるといっても過言ではないでしょう。
十数社の専門工事業者に分離発注して家を建てる
日本の家づくりには、大まかに5つの建設方式があります。
【2】地元の工務店に依頼する(設計+施工)
【3】建築家に設計を、工務店に工事を依頼する
【4】建て主による直営工事(バラバラに専門工事業者へ依頼)
【5】CM分離発注方式(設計+直営工事)
人気テレビ番組「大改造‼ 劇的ビフォーアフター」で行っているのは【3】の方式ですが、私がお勧めしたいのは【5】CM分離発注方式です。
この方式は、建て主さんが、玄関は明るくしたいとか、広くて日当たりのよいリビングがほしいとか、トイレやお風呂をこだわってつくりたいなど、自分が建てたい家について「設計専業の建築家」に相談します。
相談を受けた建築家は、自身の経験や専門知識を用いて、どういう設計でどういう材料を使って建て主さんの要望に応えられるかを考えます。そして、建て主さんと意見が一致したならば、それに従って描いた設計図を基に複数の専門工事業者(20~50社)から見積もりを取るのです。
【3】の方式では工務店(総合建設業者2~3社)から見積もりを取りますが、【5】CM分離発注方式では、基礎屋さんや建具屋さんや塗装屋さんなど20工種ほどの専門工事業者数十社にバラバラに見積もりを取って競争してもらうのです。
末端の専門工事業者の見積もりですから原価に近く、常に建築にかかる費用はオープンにできます。建築家は建て主さんの代理人として、見積もりの徴収やチェックをします。工事中も建て主さんの代わりに工事の確認を行いますので、手抜き工事のトラブルも生じません。まさに、「価格の見える」かたちで、「理想の家づくり」を実現できるのです。
日本では、ほとんどの人が「家を買う」という表現を使います。私は長い間、これに疑問を感じていました。家は「買う」ものではなく「建てるもの」です。
私たち一人ひとりの「家」に対するリテラシーを高め、多くの方が理想の家を手に入れ、ひいては理想の人生を送れるように、海外より30年は遅れていると言われる日本の家づくりの常識を変えていかなければなりません。
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