「どうぶつの森」が中国から突如消えた背景事情 誰も想像しなかった驚きの"使われ方"

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SNSやネットの閲覧制限や言論統制などで厳しいことで知られている中国ですが、“ゲームの中でなら自由だ”と、自作した看板などに政治的メッセージを込めたり、なかには習近平国家首席の葬式を模したものをDIYで表現したりする者も出てきています。

これが“消失”の原因かどうかは定かではありませんが、その理由が明かされず、いっせいに購入できなくなったことを考えると、なんらかの“意図”があったと捉えられてもおかしくありません」(中国事情に詳しいウェブメディア編集者)

ゲームを通して抗議する“ネット活動家”たち

しかし、なかにはこんな方法で当局の目をかいくぐろうとする者も……。

『猛男之森』という隠語を使って同ソフトを出品する業者も出てきています。中国のいわゆるオタクと呼ばれる人たちのなかでは、『ゲームは子どもの遊び道具ではなく“真の男の娯楽”である』というネットスラングがあるため、“真の男の森”という表現を用いて販売しているんだとか。まさにネット時代ならではの“抜け道”ですよねしかし、それも束の間、10日の午後にはすべての販売ルートが閉ざされてしまったんです」(同前)

入手困難な状況において、ますますゲームを所持している“ネット活動家”の士気も高まってしまいそうな気もするが、その背景にはやはり中国のネット事情が大きく影響しているようで、

習氏は3月にも“すがすがしいネット空間を作り出す”ことを目的に、経済・文化の優れた点や中国文化を国際的に広めるような内容の発信を奨励する一方で、これまで通り“経済や社会の秩序をかき乱す”情報の発信を禁止しています。

ケースによっては刑事罰にも問われることになるそうです。『どうぶつの森』で政権批判まがいのムーブメントが起こったのも、そういった要因があることは否定できません」(全国紙記者)

このような情報統制があったことについて、中国サイドが何らかの表明をするわけもなく、“事実”かどうかは不明であるが、香港の事情に明るい現地記者はこう語る。

香港の活動家・黄之鋒氏のツイッター(画像:週刊女性PRIME)

「香港と中国の関係は、いまだに民主化運動で揺れています。香港で最も有名な活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏がゲーム内で“自由な香港、今こそ革命を”と名づけて抗議を開始し、そのスクリーンショットをツイッターに投稿するなどしていました。

ほかにも今回の新型コロナウイルスについて“武漢肺炎”といった呼び名で揶揄する匿名ユーザーも。中国としては『どうぶつの森』がこういった“国際問題について発信できるツール”として使用されている現状も看過できないのでは?

ゲームの自由度の高さがこのようなかたちで逆手にとられるとはゲーム制作者も知る由もなかっただろう。

(取材・文 野口侑弥)

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