新型コロナ危機でインフォデミックが危ない 高齢者も含めデジタル利用も急速に拡大する

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日本はアメリカなど諸外国と比べればそこまでフェイクニュースにさらされておらず、社会も分極化されていないのだから 、「インフォデミック」の心配はしなくてよいという考えもあるかもしれない。しかしわれわれの調査からも見えるように、新型コロナウイルス感染拡大によって、日本人のコミュニケーション&情報収集手段としてのデジタルツールの重要性は高まっている。そして4月7日の緊急事態宣言以降は外出がさらに難しくなっているため、この傾向はさらに強まるとみている。

NTTドコモモバイル社会研究所によれば、日本の高齢者のスマホ保有比率は高く、2020年1月時点で70代の高齢者も(携帯電話保有者のうち)7割がスマートフォンを持っているという。したがって、高齢者も含めた日本人のデジタルコミュニケーションは一層進んでいくとみられる。国民の命と社会を守るという意味において、日本も新型コロナウイルス感染拡大(パンデミック)だけではなく、誤情報・偽情報の拡大(インフォデミック)抑止にも十分注意を向ける必要がある。

※アンケート調査の手法や結果の詳細は野村総合研究所の「新型コロナウイルス感染拡大下の日本人の情報収集行動」を参照ください。

森 健 野村総合研究所 未来創発センター グローバル産業・経営研究室室長

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もり たけし / Takeshi Mori

専門はデジタル・エコノミー、グローバル経営。共著書に『デジタル資本主義』(2019年度大川出版賞)、『2010年のアジア』、『2015年の日本』(いずれも東洋経済新報社)など。

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林 裕之 野村総合研究所 コンサルティング事業本部 マーケティングサイエンスコンサルティング部 シニアコンサルタント

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はやし ひろゆき / Hiroyuki Hayashi

2009年東京大学大学院新領域創成科学研究科先端エネルギー工学専攻修了後、グローバルコンサルティングファームを経て、2015年野村総合研究所入社。専門領域は、生活者の意識・行動分析、需要予測などの予測モデル構築、購買実績データによる顧客の購買行動特性分析など、データに基づくマーケティング活動支援や戦略立案。これまで執筆した書籍(共著)に『なぜ、日本人は考えずにモノを買いたいのか?』(2016年)、『日本の消費者は何を考えているのか?』(2019年、以上東洋経済新報社)がある。

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