「研修中止」で企業に問われる新人育成の本質 新人を教育せず放置したままにする会社も

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他方、社員研修そのものを延期する会社もあります。今年は入社時期そのものを遅らせている企業も多いです。3月に私が行った新入社員向けのライブ配信でも、「6月に延期になりました」とのコメントが寄せられました。

ただ延期になったからといって、やはり新入社員を放置したままにしないことは大切です。未曾有の事態で、自分自身が明日どうなるかもわからない中、新入社員は非常に不安を感じていることでしょう。そのうえ、入社予定の会社から情報がほとんど入ってこないような場合は、さらに不安な気持ちにさせてしまいます。

新しい世界にワクワクした気持ちで働き始めるのか、後ろ向きの気持ちで働き始めるのか。その先の仕事のモチベーションは大きく変わります。新人育成はビジネスマナーを教えることだけではありません。新入社員にいかに前向きに働いてもらうかを考えることも、とても大切なポイントです。

入社前の準備が成長へとつながっていく

私は、新入社員たちに「今を準備期間だと捉えてください」と話しています。 例えば入社が2カ月延期になったから、そのまま、だらだらと遊んで過ごすのか、2カ月後にスタートダッシュが切れるように仕込んでおくのかで、その後の成長スピードが変わります。

延期を決めた企業も、「では2カ月後に」と突き放すのではなく、今だからこそできるサポートを提示するのも手ではないでしょうか。例えば新入社員にとって有益なユーチューブの動画をまとめる、オンラインセミナーを受講させる、自社の業種に関連する課題図書を出し、アウトプットを求めるなど、できることは無限にあると言えます。

オンライン研修や動画研修への切り替えを行う会社もあります。オンラインや動画の研修は、講師や受講生が1カ所に集まる必要がなく、どこにいても学べる、など新型コロナウイルス対策としても、リモートワークへの対応としても使えるため、とても注目が集まっています。

 また大きな会場を手配する必要がなく、動画教材であれば一度購入すれば何度でも利用できるため経済的でもあります。

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