8年越し「ジョーダン」商標紛争で中国企業敗訴 最高人民法院が商標権の侵害認める最終判決

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喬丹体育はマイケル・ジョーダン氏を中国の消費者に想起させる漢字ロゴやシンボルマークを商標登録している(写真は喬丹体育のウェブサイトより)

アメリカNBAの元スター選手、マイケル・ジョーダン氏と中国企業が8年越しで争っていた注目の商標訴訟に、ついに最終判決が下った。

中国最高人民法院(最高裁判所に相当)はこのほど、福建省のスポーツ用品メーカーの喬丹体育が中国国内で登録していた「喬丹」(訳注:英語の「Jordan」を中国語で表記する場合の一般的な当て字)の商標の一部がジョーダン氏の商標権を侵害していると認定。該当する登録商標第6020578号の紛争に関する旧国家工商行政管理総局(現国家知識産権局)の裁定を取り消した。

この判決に対して喬丹体育は、4月8日、マイクロブログ「微博」の公式アカウントで声明を発表した。同社は2012年からジョーダン氏との間で78件の商標について法廷で争い、漢字表記の「喬丹」やそのローマ字表記の「QIAODAN」を含む74件について勝訴したと説明。今回の最高人民法院の判決は、既存の商標の使用や会社の経営に影響を与えないとしている。

シンボルマークの肖像権は認めず

問題の登録商標第6020578号は、喬丹体育が2007年4月に出願したもの。漢字ロゴとシンボルマークの組み合わせで構成されており、下部に「喬丹」のロゴ、その上にバスケットボール選手をかたどったマークが配置されている。

最高人民法院はそのうち漢字ロゴについて、喬丹体育はジョーダン氏が中国で長期的かつ幅広い知名度を有していることを知りながら「喬丹」の商標を登録したと指摘。この商標が表示された商品はジョーダン氏によるライセンスなど特別な関係にあるとの誤解を消費者に容易に与え、ジョーダン氏が持つ優先的な商標権を侵害していると認定した。

本記事は「財新」の提供記事です

その一方、シンボルマークに関しては単なる人物のシルエットであり、輪郭を除けばジョーダン氏の個人的特徴は何ら含んでいないと判断。マークと同一のポーズを他の誰でも取ることができるため、特定の人物であるとは言えず、肖像権は認められないとした。

ジョーダン氏は8年前、喬丹体育が登録した各種商標の取り消しを求める訴訟を中国で起こし、同社がジョーダン氏の名声を悪用して不当な利益を貪っていると主張した。これ対して喬丹体育は、「喬丹」は欧米の一般的な名前である「Jordan」の中国語訳にすぎず、ジョーダン氏の商標権は侵害していないと反論していた。

(財新記者:孫良滋)
※原文は4月9日配信

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