実際、日本でもいくつかの自治体でオンライン授業の動きがある。熊本市教育委員会によると、市立学校の休校措置を5月6日まで延長し、小学校の3年生以上と中学生には自宅でオンライン授業を行うとのこと。同市教委の調査では、約3分の2の家庭が学習に適した大画面のタブレット端末やパソコンをすでに持っている。未所有の家庭には、市が端末を貸し出す方針だ。
静岡市の静岡聖光学院中学校・高等学校では3月2日から臨時休校に入り、オンライン授業を始めた。以前から授業中に調べるために使っていたタブレット端末を活用し、授業やホームルームはZoomで行い、iTunes Uを使って課題を生徒に配付する。iTunes Uでは、クラスをアイパッド上で管理できる。教材を使って授業を組み立てたり、課題を回収して点数をつけたり、議論やチャットをしたり、質問に答えたりすることができる。
民間ではかなり進んでいるが…
日本にもこういった動きがあることはある。だが、日本全体で言えば、はっきりいって諸外国に比べてあまりにも遅い、遅すぎる。
例えば、4月3日付の教育新聞には下記のように出ている。「東京都などの休校延長でオンライン授業に対するニーズが高まっている状況を受け、萩生田光一文科相は4月3日、文科省で閣議後会見を行い、『できることはやっていくということを、各自治体と一緒に模索してみたい』と述べ、オンライン授業を標準授業時数の一部として認める措置を含めて検討していく考えを表明した」。
つまり、これから実施に向けて模索と検討を開始するということだ。なぜ、これほどまでに遅いかというと、日本は普段から公的な教育の充実に力を注いでこなかったからだ。当然、ICT教育も諸外国に比べて周回遅れといっていいくらいに遅れている。
ところが、国としては遅いのに民間ではかなり進んでいる。通信教材会社、家庭教師派遣、塾、予備校などの民間企業でオンライン授業に取り組んでいるところがたくさんある。その中には、現在無料で提供されているものもあり、「学習 オンライン 無料」などのキーワードで検索するとたくさん出てくる。このように民間ではかなりノウハウが蓄積されているので、国としても見習ってほしいところである。
いたずらに脅したいわけではないが、もともと日本は自然災害の多い国であることも考慮する必要がある。例えば南海トラフ地震、首都直下地震、富士山の噴火、大型台風などが考えられる。また、温暖化などによる地球全体の環境が変動することで未知の感染症が発生するリスクもある。こういうリスクが現実化したとき、子どもの学習を保障することができるのは、やはりオンライン授業しかないのである。
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