「土足で他人の領域入る」職場の人への対応策 自己肯定感がなく生きづらい人の働き方改革

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とはいえ、急に職場を変えられない。人間関係を変えられないと途方に暮れる人もいるだろう。そこで、拙著『NOを言える人になる』の中から、1つの方法を紹介したい。それは、「ラインオーバーを繰り返す相手は『NO』の棚に分類する」ということだ。

「ギブアンドテイクのバランスが悪い」「自分だけがリスク、責任を持っている」「相手の言い分ばかり聞いている」。そんな状況が続いたら、冷静に自分と相手を観察してみよう。もし、相手が自分のことばかり優先し、あなたにラインオーバーを頻繁に仕掛けてくる人なら、遠慮せず「NOの棚」に入れてしまう。

基本的に接触しないと決める

1度、その棚に入れた相手は基本的に接触しないと決めよう。関係の改善も考える必要はなく、話しかけれられても一言でそっけなく返す。誘いには、いっさい乗らなくていい。コミュニケーションをとる意思がないことを示し、しっかり「塩対応」をしよう。

『NOを言える人になる 他人のルールに縛られず、自分のルールで生きる方法』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

相手からのメールを「迷惑メール」に振り分け、目につかないようにしてもいい。ある30代の女性は、「自分が頑張れば相手といい関係が築ける」と働いていたが、相手が平気でラインオーバーする人間だと気がついてから、ずいぶん楽になったという。自分の努力不足だと責めなくなったからだ。

世の中には本当の意味で人を大事にしてくれる職場に恵まれる人もいるが、ラインオーバーを繰り返す経営者や上司、同僚によって自分の領域を侵害され、人生を破壊されてしまう人もいる。

もし、あなたが現在、職場の人間関係や環境、ルールに不快なもの、もやもやしたものを感じているのなら、1度きちんと見直し、好ましくない関係には少しずつNOを突きつけていこう。

どう頑張っても自分の境界線を守り切れないとわかった場合は、職場自体にNOを言うこと(退職、転職)もありだ。自分が幸せに働くための「働き方改革」に、ぜひ取り組んでほしい。

鈴木 裕介 内科医・心療内科医

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すずき ゆうすけ / Yusuke Suzuki

2008年高知大学卒。内科医として高知県内の病院に勤務後、一般社団法人高知医療再生機構にて医療広報や若手医療職のメンタルヘルス支援などに従事。2015年よりハイズに参画、コンサルタントとして経営視点から医療現場の環境改善に従事。2018年「セーブポイント(安心の拠点)」をコンセプトとした秋葉原saveクリニックを高知時代の仲間と共に開業、院長に就任。また、研修医時代の近親者の自死をきっかけとし、ライフワークとしてメンタルヘルスに取り組み、産業医活動や講演、SNSでの情報発信を積極的に行っている。

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