「都心・駅近・タワマン」の住居価値が低下する訳 在宅勤務で「住まい探し」にも多様性が広がる

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これまでのサラリーマンは「会社で働いていればそれでよし」として、住まい選びもその延長線上で考えればよかったのです。それが1日のかなり多くの時間を「住む街」で過ごすということとなれば、ただ単に「保育所が近くにあるかどうか」とか「駅から何分」とか、ましてや「買った家がこの先値上がりするかどうか」などという古い発想では対応できなくなります。

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「自分らしく」などと人はよく言いますが、実際に「自分らしさ」を自覚し、それに沿った人生を歩んでいる人は意外と少ないものです。なんとなくではなく真剣に人生を豊かにするため、もしくは自分を磨いていくため、自分の住む街とどういった関係性を築くのかがこれからの大事なテーマとなるでしょう。

もし理想的な関係性を確立できたなら、ライフスタイルが根本から変わっていく社会の中で生じる自由時間を有効に活用し、それではじめて有意義な人生を送ることができるのです。

「住まい選び」で人生が豊かになっていく

このことは、勤労者の間でも生き方や考え方が異なる人がいるのが当たり前で、異なっていても待遇や処遇に差が生じない、むしろ人とは違う自我や個性を持つ人ほど評価される時代に繋がる可能性を秘めています。

今までのような、どこを切っても同じ「金太郎飴」のような考え方でいると、人生はとてつもなく退屈になりますし、職種によってはAIなどに代替され、失業の憂き目を見る可能性もあると思います。

『街間格差-オリンピック後に輝く街、くすむ街』(中公新書ラクレ)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

詳しくは拙著『街間格差』に記しましたが、同時に家余りの時代の中で、都内の同じようなポジションにある「街」であっても「選ばれる街」と「遠慮される街」に厳しく選別され、暮らしやすさや自治体のサービス、治安、不動産の価格などあらゆる面で差が生じ始めています。

それこそが私が同書を通じて唱えた「街間格差に備えよ」という言葉の真意です。

「都心にあるから」「タワマンだから」「駅から近いから」「ブランド路線だから」といったこととは次元が違う「街の持つソフトウェア」によって、その価値やあなたの人生の豊かさまでが決まる時代が突然、私たちの目の前にやってきたのです。

牧野 知弘 不動産事業プロデューサー

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まきの ともひろ / Tomohiro Makino

1959年生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループなどを経て三井不動産に勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立。現在はオラガ総研代表取締役としてホテルなどの不動産プロデュース業を展開。また全国渡り鳥生活倶楽部株式会社を設立。代表取締役を兼務。著書に『不動産の未来』『負動産地獄』『空き家問題』『2030年の東京』(河合雅司氏との共著)など。

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