ボディサイズは、フィット(BASICやHOMEのFF)が全長3995 mm×1695 mm×1515 mm、ヤリスが全長3940mm×全幅1695 mm×全高1500 mm。確かに、フィットはヤリスより少し大きいが、数字以上にデザインイメージとして、ヤリスは小さく見える。ヤリスのデザインコンセプトは「黒豆」である。
インテリアは、世界観がまったく違う。
フィットは、オーソドックから脱却し、クルマの常識を覆そうとする意気込みを感じる。極細フラントピラー採用による「乗った(走った)瞬間にわかる、圧倒的な見晴らしのよさ」は誰が乗っても驚くはずだ。このほか、ホンダはインテリア各所での試みを「人の感性は世界で同じなのだから世界標準になりうる」と考える。
ヤリスは「大胆さ」「スポーティ」「若々しさ」といった表現が似合う。視界の中に、ダッシュボード中央に大きく突起したディスプレイオーディオをあえて入れ込むことで、コネクティビティという先進的な使い勝手を運転者に意識させているが、デザイン手法としてはオーソドックスな印象だ。
「心地よさ」で勝負するフィット
乗り心地やハンドリングについても、オーソドックな進化のヤリスとホンダらしさにこだわるフィットという明確な差を感じる。またフィットとヤリスは、それぞれで前モデルとも大きな違いがある。
フィットは先代のプラットフォームを継承し、ボディやサスペンションに改良を加えて開発している。走り全体の印象は、「N-BOX」との比較試乗記でも書いたが、「なんとなく……よい」といった感じ。見晴らしのよさを含めて、フィット独自の世界感を自然に感じされるような、総合的な演出が施されているからだ。
ヤリスのように「どこがどのように」「どんな場面でこんなふうに」というのではなく、どんなときでも自然体での「心地よさ」を狙って作られている。総合的にはハイブリッド車の「e:HEV」のほうが、「心地よさ」がわかりやすいだろう。
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