コロナで孤立「妊産婦」の不安に答える無償の手 助産師110人がネットで相談会&両親学級開催

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杉浦さんはInstagramで最初に質問を投げ掛けた次の日、今度はFacebookを使って全国の助産師らに協力を呼び掛けた。「たくさんのお母さんたちが困っている。オンラインで何か提供しませんか」と。すると、「今こそオンラインの力ですね」「何かお手伝いできることがあれば協力させてください」といった声が集まり、全国の助産師ら110人が呼び掛けに応じた。

杉浦さんは言う。

「今の状況を見て、何かしたい、力になりたいと思っている人はたくさんいるんです。単独で活動するよりも、全国の助産師が協力することで必要な人にちゃんと支援を届けたいと思います」

2日でオンライン相談会&両親学級開催を決定

新型コロナウイルスの感染拡大は急速だ。時間はない。杉浦さんは子どもたちを家で見ながら、Facebookやオンライン会議でメンバーたちと支援のかたちを大急ぎで話し合った。そしてわずか2日でオンラインによる無料の両親学級や相談会の枠組みを決めた。

特設サイト「オンライン両親学級&児童館」のトップページ(https://onlinemother2020.wixsite.com/onlinemother2020)。「じょさんしonline」の呼び掛けに全国の助産師ら約110人が集まった(撮影:フロントラインプレス)

その「オンライン両親学級&児童館」は4月4日(土)から4月19日(日)までの2週間。参加する助産師らは全国各地から約110人を数える。これほど多くの助産師たちが一斉にオンラインで相談に乗るのは、異例の規模・体制と言ってよい。

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予約制で1回90分。妊娠前期・中期・後期の3回に分けた両親学級のほか、子育て中の親を対象としたグループ相談会も実施する。参加者もお互いの顔を見ながら意見を交わす。誰もが安心して参加できる取り組みだ。

こうした試みがさらに広がり、妊産婦の孤立をあちこちで救うことができたら? 杉浦さんら主催者たちは、そんなことを考えながら準備に奔走している。

伊澤 理江 ジャーナリスト

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いざわ りえ / Rie Izawa

フロントラインプレス(https://frontlinepress.jp)所属。英国ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。新聞社・外資系PR会社などを経て、現在はネットメディア、新聞、ラジオなどを舞台に取材・執筆を行っている。『黒い海-船は突然、深海へ消えたー』(講談社)で大宅壮一ノンフィクション賞、講談社本田靖春ノンフィクション賞、日本エッセイスト・クラブ賞、日隅一雄・情報流通促進賞を受賞。

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