総会出席者が議決権行使をしないと定足数を満たせず、会社側議案の可決もできないような場合で、通信環境が安定せず議決権の行使状況を把握できない事態が起これば、最悪の場合、総会のやりなおしを余儀なくされる。
さらに、議長や役員が総会会場にいなくても総会が成立するとなると、株主と直接向き合いたくない経営者が、バーチャル総会を「悪用」するケースが今後出てこないとも限らない。
遠隔地の株主は総会に出席しやすく
経済産業省は2月26日、かねて検討を重ねてきた「ハイブリッド型バーチャル株主総会」に関する実施ガイドを公表。インターネットなどを使って遠隔地の株主が総会に参加・出席しやすくなる道を開いた。
バーチャル総会には、参加者が事前に議決権行使を済ませたうえで総会当日に臨む「参加型」と、総会当日の議決権行使が可能な「出席型」がある。参加型は、株主がチャットを使ってコメントを送ることはできるが、それを読み上げるかどうかは議長の裁量次第。質問や動議も出せない。
一方、出席型は、議決権行使を認識できる特殊なソフトを会社側が用意していることが大前提になり、通信障害によって議決権行使ができなくなる事態を回避する必要もある。
今回は新型コロナウイルスがきっかけにはなったが、いずれにせよバーチャル総会は早晩普及していくことになるだろう。12月決算会社で、最初からバーチャル総会を準備できた会社は、3月13日に株主総会を開催した独立系ソフト開発会社の富士ソフト1社だけだった。
バーチャル総会が普及すれば、悪用する事例が登場し、それが撲滅されることで制度は洗練されていく。
6月には、全上場会社の6割を占める3月決算企業の総会が開催される。新型コロナウイルスの沈静化度合いにもよるが、3月の株主総会よりも一層、バラエティに富んだ開催手法が登場するはずだ。
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