休校中の「闇部活」コロナ禍でも強行される異様

安全より「インターハイ」を優先する大人たち

実は、一斉休校に突入した3月上旬、東京都の私立高校で教鞭をとる男性から「(都内でも)隠れて部活をしているところはある。私立の中高」と聞いていた。都内がここまでの厳戒態勢になったいま「さすがにやってはいないと思うがわからない」。

コロナ禍でも強行する「部活熱」は、以前より問題視されていた。近年、文部科学省やスポーツ庁の通達により活動時間を短縮化。自治体によって設定時刻は多少違うが、中高とも夕方5~6時には完全下校が徹底されてきた。

ところが、地域によっては「部活後の練習会」が実施されてきた。いわゆる「闇部活」というものだ。決められた時刻に下校した部員らは、保護者が予約した公共の体育館やグランドへ移動。夜遅くまで延長部活が行われてきた。

勝利至上主義のもと実施される「闇部活」

子どものためにどう対応すべきか。非常事態といわれる今だからこそ、指導する側の姿勢が問われるに違いない。前述したように、部活を強行する学校がある一方で、毅然と中止を続ける学校もある。

高校バスケットボールの全国大会でベスト8に進んだことがある近畿大学付属高校男子バスケットボール部は、2月下旬から活動を休止している。顧問である大森健史さんは、コロナの感染拡大が続くなかでの他校の活動継続を心配する。

「大阪でも練習をやっている学校があると噂は聞きます。多分、監督からすれば若い子どもたちに感染しても症状は軽いと考えているのでしょう。都合の良い情報だけをとればいくらでも練習はできます」

3月27日12時時点での厚生労働省発表データによると、大阪府のコロナウイルス感染者は136人。東京都、北海道、愛知県に次いで4番目に多い。死亡者も出ているが、部活を継続させる指導者に「部内でクラスターが起きたら大変なことになる」というような危機感はうかがえない。

目の前のリスクから目をそらして部活動を続ける背景には、部活動を続けるのは、夏に行われる全国高校総体(インターハイ)の予選があるからだとの見方が強い。競技によるものの、学校数の少ない県は通常5月から始まる。例えばバスケットボールは、学校数の多い大阪府では当初4月からの予選スタートだった。先ごろ5月スタートに後ろ倒しされたが、その予選に備えなくてはという気持ちが強いようだ。

そんな掟破りのブラック部活を学校や保護者が黙認するのは、全国大会という「熱源」があるからだ。勝ち進めば勝ち進むほど選手の高校や大学へのスポーツ推薦への道は近づくから、指導者や保護者は躍起になる。

コロナ禍での闇部活が見過ごされるのは、この構造と類似する。背景に、命の危険さえ顧みない勝利至上主義が横たわる。

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