中国外務省は3月28日、有効なビザ所持者を含むすべての外国人の入国を一時停止すると発表し、海外からの新型コロナウイルス感染者の入国による感染拡大に警戒を高めている。同日、新型コロナウイルスの最初の発生地である武漢市が、65日間の運転停止した地下鉄や路線バスが一部再開し、同市の「封鎖解除」は4月8日になる予定だ。
一方、「無症状の感染者への対応も油断できない」と中国の李克強総理が地方政府に新型コロナウイルスへの警戒を緩めないようと指示した。新型コロナウイルスの中国国内流行がピークアウトした中国では、メーカー各社は生産活動の正常化に向けて力を入れる、中国発のIT・通信技術を活用する感染拡大の防止が注目されている。
操業再開に伴う従業員管理の厳格化
中国政府は2月25日、オフィスや工場での感染防止についてのガイドラインを発表した。人の滞在履歴、健康状態感染者との濃厚接触歴で「高・中・低」3段階のリスクに分類したうえで、経済活動の再開およびそれぞれの対応を求めている。また、数日間続けて新規感染者なしの地域では、地方政府が公衆衛生上の警戒レベルを引き下げ、企業の操業開始を促している。
2月中旬以降、中国の多くの都市では突発的な公衆衛生上の問題への対応を最重要任務として感染予防に取り組み、事業再開に向けた審査制度が実施されている。感染の拡大を防ぐため、従業員に対する徹底的管理の実施、感染予防用物資の確保、危機対応組織の設置など、各企業は事業再開を整えた条件をクリアする必要がある。
操業再開にあたっては、企業がアプリで申請し、当局の現場検査・承認を受けたうえで業務開始するのが一般的な流れだ。他方、従業員不足の問題に頭を悩ませる企業は少なくない。市外から戻った従業員の感染リスクへの対応として、地方政府は従業員の7~14日間の自宅待機(外出禁止)、居住する団地やコミュニティーによる健康証明の発行義務を規定している。
また、交通規制により職場復帰できない従業員や、従業員の出社に伴うさまざまな手続きなどが支障となっており、地元出身の従業員のみで操業開始した企業も少なくなかった。
日系の電気・電子メーカーが集積している江蘇省蘇州市では、企業の操業開始前に当局から再開の審査が課せられている。
経営者は感染者が発生していないことを誓約し、従業員の健康状況や直近の滞在履歴など、出勤予定者全員の情報を市政府に提出。日系自動車・部品メーカーが進出する広州では、体調不良者の隔離部屋の設置、マスク・消毒液・体温計の確保などが操業再開の基本条件となり、施設や工場の玄関にて従業員全員に対する検温が求められている。
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