現在中国各地ではQRコードで市民の健康管理や感染防止を推進している。杭州市は2月11日からアリババ集団のアリペイが開発した「健康コード」システムを導入し、市民の移動管理を担っている。市民がアプリを通じて、個人情報や健康状態などを入力・申請すると、緑(通行許可者)、黄(7日間隔離対象者)、赤(14日間隔離対象者)の1色いずれかのQRコードが交付される。
こうした色分けされたQRコードで感染状況を識別できるシステムは、すでに浙江省、上海市、江蘇省で導入した。また国務院が立ち上げた国家政務服務プラットフォームでは、テンセントの通信アプリ「WeChatミニプログラム」を活用し、2月末から利用者にQRコードの交付が始まった。
今後の課題は消費喚起
新型コロナウイルスは世界各地で感染が拡大しており、2020年3月末時点、世界全体の患者数はすでに70万人、死者3万人を超えた。欧米諸国の都市封鎖による経済への悪影響は避けられない。
国際通貨基金(IMF)が3月27日、「2020年の世界経済が景気後退し、リーマン・ショックより深刻だ」と示した。また世界の自動車販売台数は前年比12%減の7879万台になり、2012年の水準に落ち込む見通しだ(IHS)。現在、中国は9割超の企業が通常操業に回復しており、「世界の工場」の早期稼動による世界経済への貢献が期待されている。
一方、中国の製造業を支える自動車産業では、自動車メーカーはほぼ操業再開したものの、対面販売を行う自動車ディーラーは依然低い開業率(3月19日時点の開業率は61%) にとどまっている。感染の恐れが払拭されるまでは自動車ディーラーが正常な営業に復帰できず、自動車メーカーの生産も縮小せざるをえないだろう。
また、原材料・部品の生産・調達、物流の遅延など支障が出る部品メーカーもあり、消費者の購買意欲の低下に加え、生産・販売の両面から中国自動車業界の本格回復にはしばらく時間がかかりそうだ。
かかるなか、中国工業情報省は、自動車ナンバープレートの発給数の増加や新車消費の喚起を促進しており、地方政府も自動車の消費刺激政策を打ち出した。中国の新車販売が夏以降から挽回できれば、中国経済ないし世界経済には一筋の光明が差すだろう。
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