消費増税を急げば、財政健全化はできるのか 再びデフレリスクを抱えてしまった、日本経済

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経済的な豊かさ実現のための、ベストな選択とは

いよいよ4月1日から消費増税が実施される。日本経済の真の実力が発揮されないうちに増税に踏み出すことは、(1)デフレに舞い戻るリスクを高める、(2)本来の実現できるはずの税収が低く見積もられ、不要な税率引き上げが実現する、という2つの意味で、日本経済はリスクを抱えることになる。

それなのに、一刻も早い増税が必須と考える方は、本当に財政健全化を実現したいのだろうか?「財政健全化」は大事だが、これはそもそも「会計上の赤字や黒字」という数字が増えたか、減ったかという話である。

もちろん、財政赤字や公的債務が、日本経済に及ぼす影響については、さまざまな議論がありうるかもしれない。ただ会計上の数字ではなく、日本人の経済的な豊かさを高めるために、ベストな政策選択は何かという視点が重要である。「脱デフレ」つまり、日本の経済資源がフル活用される状況に近づける対応を最優先させることが求められている。

そうすれば、過去20年、貧しくなり続けた日本人の生活は、確実に豊かになる。残念ながら消費増税が実施されるが、もし脱デフレを最優先にする政策を採用すれば、「アベノミクス」が成功する可能性は、ほぼ100%だったはずだ。

今回の消費増税ショックを、日本経済はなんとか乗り越えることができると筆者は予想しているが、アベノミクスは増税という、必要がないリスクをとってしまったと考えている。いずれにしても、今後2~3年で実現するだろう、インフレを伴う景気回復で、財政赤字などの問題は、巷間論じられているよりも深刻な問題でないことが、明らかになるのではないか。

村上 尚己 エコノミスト

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むらかみ なおき / Naoki Murakami

アセットマネジメントOne株式会社 シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、外資証券、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。

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