「NHKプラス」は全世帯受信料徴収の布石なのか 4月1日からネット同時配信が本格スタート

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しかし、4日に日本経済新聞が「総務省が4月をめどに有識者会議を立ち上げ、テレビの有無にかかわらず全世帯が受信料を負担するドイツのような仕組みを含め、幅広く検討する」と報じたことで、これを見た人々がヒートアップ。「ひどすぎる搾取」「やはりスクランブル化するしかない」「それより先に局員の高給を下げろ」などの猛批判が現在まで連日ツイートされ続けています。

さらにネット上の声を見ていくと、「NHKプラスの利用者が増えると、全世帯負担の免罪符になってしまうので絶対に登録しないで」というネガティブキャンペーンのようなものもありました。もしこの報道が真実であり、全世帯負担に向けて動き出したら、有識者会議でどんな大義名分を掲げたところで効果は少なく、若年層を中心にNHKへの批判は強くなっていくでしょう。また、NHKだけでなくテレビ全体のイメージダウンにもつながりかねないことから、民放各局も異を唱えるはずです。

NHKは過去に「ネットのみで番組視聴する世帯の受信料徴収には一定の合理性がある」というコメントを発信し、物議を醸したことがありました。全世帯負担による影響の調査、法改正、徴収体制の整備などの越えるべきハードルはありますが、俯瞰した目で一連の流れを見ていくと、「世間の反応をうかがいながら、できれば早く進めていきたい」という思惑をところどころに感じてしまうのです。

NHKに求められるのはコンテンツ勝負

ふだんNHKの番組に親しみ、受信料を支払うことに抵抗が少なく、毎日パソコンやスマホを使っている人にとって、NHKプラスは便利なサービスに違いないでしょう。事実、私の知人には「通勤電車で『NHKプラス』を使って朝ドラを気軽に見られるようになった」と喜んでいる人もいます。

これは「NHKの番組に魅力を感じている人ほど、NHKプラスのメリットを最大限に受けられる」ということ。その意味でNHKに求められているのは、ユーザビリティーを高めていくことはもちろん、「幅広い世代の人々が魅力を感じる番組をいかに多く作れるか」でしょう。もはや「NHKは公共放送だから」という理由で受信料を徴収できる時代ではなく、コンテンツで勝負するしかないのです。

現段階におけるNHKプラスは受信料徴収の起爆剤にはならず、世間の顔色をうかがうものであり、ファンサービスのような位置づけにすぎないのかもしれません。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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