「NHKプラス」は全世帯受信料徴収の布石なのか 4月1日からネット同時配信が本格スタート

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まずNHKプラスは「放送との同時配信」にこだわって作られたもので、放送されている番組の「追いかけ再生」も可能である一方、放送終了後に配信しているTVerはそれらができません。ところが、その「放送との同時配信」や「追いかけ再生」が世間の人々に待望されているかと言えば、それほどでもないでしょう。

むしろユーザー目線で見たNHKプラスは、「TVerと別のアプリを起動しなければならない」「TVerでは不要なID登録が面倒」というデメリットがあるもの。それらの手間をかけてもらうためにはTVerとの差別化が必要であり、たとえば「放送後7日間ではなく2倍の14日間見られる」くらいのメリットがほしいのではないでしょうか。とりわけネット接触頻度の高い若年層は、NHKの番組に親しみが薄いこともあって反応が鈍いようなのです。

ちなみに昨年8月、TVerでNHKの一部番組を見られるようになりました。現在も「チコちゃんに叱られる!」「みいつけた!」「きょうの料理」「ハートネットTV」は受信契約の有無にかかわらずTVerで見ることができます。

NHKによると、受信契約の有無にかかわらず見られるようにした理由は、「TVerのウェブサイトとアプリはNHK放送の受信設備ではなく、受信契約の対象ではないから」とのこと。これは裏を返せば、「TVerで見ている限り受信料は必要ない」ことになってしまい、TVerに配信される番組の選択基準があいまいなことも含めて疑問が残ります。

やはり高額とみなされるNHKの受信料

前述したようにNHKプラスは無料のサービスですが、あくまで受信契約者向けのもの。では、「テレビ番組はTVerや動画配信サービスでしか見ない」という人にとって、コスパの面でどうなのでしょうか。

NHKの地上契約は月額1260円(振込の場合は1310円)であり、動画配信サービスを月額で見た場合のAmazonプライム・ビデオ500円、Netflix880円、Hulu1026円、dTV  550円、Paravi1017円などと比べても明らかに高額。もちろんコンテンツの本数と内容はそれぞれ異なりますが、「どうしても見たい」という番組がない人にとっては単純にコストの面で高いのです。

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